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 SFCに電源を入れてみる。古いSFCなのでいつも苦労するのだが、一発で起動。幸先がいい。オープニングデモは…グラフィックがキレイだなあ。SFC末期の作品だけはあるかもしれない。
 主人公の名前入力は、面倒なのでデフォルトのまま。「アーク」で行ってみる。
 しかしこの中古ソフト…残っているデータはふたつ、最高レベルが7でプレイ時間2時間程度ってどう言う事なのだろう…。



第一章:旅立ち

 …どこかの家のベッドの上からゲーム開始か。「エル」と言う女の子に起こされた。母親みたいな事を言う子だなあ…エルの方が年上か。でもこの年頃ならば女の子の方がしっかりしているか。しかしこの年頃っていくつだ俺。
 って何か怒られてるし。え?俺、昨日イタズラで機織小屋の織物を駄目にしてしまったの?謝ってこいって?身に覚えがないんだけど、仕方ねーなー。
 ベッドから降りて家の中をふらつくと、どうやらここは村の長老の家らしい。俺は同居、或いは居候か?にしては母親らしき人(台所、通りすがり様につまみ食いしたら怒られた)もいるのだが…判らない。
 長老にも会ったら突然機織小屋の件で小言を喰らう。…どうやら俺はイタズラ好きの困った子供らしい。
 謝りに行くべく家の外に出る。どうやらここは「クリスタルホルム」と言う村らしい。最初のマップにしては無駄に広いような気がする。でもマターリふらついてみる。…子供には慕われているっぽいな俺。「アーク兄ちゃん、巧くジャンプできるようになったよー!」とか言われてるし。



 機織小屋に着いた。長老の家のすぐ北なのだが、ふらふら道草してしまった。小屋の中に入ると…あれ、エルがここに居るや。エルって村一番の機織なのかあ。元締めのおばちゃんがそう言ってる。
 とりあえずおばちゃんに謝っておく。「あんたが素直に謝るなんてねえ…」などと言われてしまった。…アーク、貴様は普段どんな生活をしているのだと小一時間問い詰(略)。



 長老の家に戻ってみると、どうやら長老は出かけたらしい。その隙を突いて、ある一室に子供達が集まっていた。「お、アーク。いいところに来た」「この扉を開けてみようと思ってさ」
 彼らが取り囲んでいるのは、家の扉の中では唯一青く輝き、そして誰も開けることが出来ない扉だった。長老はこの扉を「開かずの扉」と言って誰にも開けないように言い含めていたらしい。しかしそう言われると開けたくなるのが悪ガキの性。長老が居ない間に開けてみようとまあ、そう言う事だ。
 面白そうなので乗ってみた。しかし…押しても引いてもびくともしない。…おいこらお前ら手伝えよ!「いつも生意気な事言ってるくせに、肝心な時には駄目なんだな」とか言ってないで。実際びくともしないんだから仕方ないだろう。
 困って部屋を見回してみる。…壺が部屋の隅に数個。前に立って(身も蓋もない表現だが)Aボタン。…おお持てた。まるでSFCゼルダ。この分なら外のニワトリも持てて投げられたり出来たか。
 持った壺を壁に向かって投げつける。…扉にヒビが入った!「いい感じだ!」と周りのガキが盛り上がる中、俺も調子に乗って壺をあるだけ投げつけてみた。
 …扉が、破れた!
 と。
 "…こっちにおいでよ…"
 "…助けて…"
 …何か声が聞こえた。俺だけ?
 そう思っていたら、周りのガキにも聴こえていたらしい。しかし、彼らは怖いのか、頭が痛いとか言って逃げてしまう。残ったのは俺だけか。
 仕方ねえなあ。俺は声に従って、扉の中に入った。



 扉の向こうには更に階段が数階分。薄暗いが降りていくと、最下層らしい部屋に当たる。結構広い。
 声はまだ聴こえてくる。その声に誘導されるように部屋の奥に辿り着くと、そこには小さな箱があった。
 "…あけて…"
 声はその中から聴こえてくるようだ。俺はその声に言われるままに、箱を開けた。
 箱はあっさりと開いた。その箱から勢い良く何かが飛び出して来た!
「…ぷはーっ!やっと出られたぜ!」
 ……。
「お前が開けてくれたのか。ありがとよ!」
 ………何じゃこのピンク色の物体はあ!?しかもぷよぷよ跳ねやがるわ空に浮いてるわ。そしてその(可愛らしいやら間抜けやらな)容貌に似つかわしくないその口調はどう言う事だ!
「俺はヨミって言うんだ。あ、箱はもうお前の持ちもんになるからよ。その中にいる奴とも宜しくやってくれ」
 …人の運命を勝手に決めるなよ。ふと箱の中を見ると、「クリスタルのヤリ」が俺を持ち主と認めていた。あーもう…お前ら何なんだ?
 俺の疑問に答える事無く、ヨミとやらはこの箱の使い方をレクチャーしてくる。そんなこたあ説明書に載ってるからいいってば…俺が買ったのは中古のくせに箱・説明書付きだったんだから。
 そんなこんな騒いでいると、上から誰か来る。…エル!?追ってきたのか?
「アーク、何やってるの!?…きゃあ!何これ!?」
 そんなもん俺が訊きたい。しかし悪い奴ではないようだから安心していいよエル。
「何だか胸騒ぎがしたから…そしたら開かずの扉が開いているし」
 その時、澄んだ高い音のような効果音。そして画面が暗くなる。
 エルが青い光に包まれ…そして立ったまま凍りついたかのように動かなくなった。



「エル!?」
 俺は焦って彼女の名を叫んだ。しかし彼女は全く動かない。
「おい、ヨミ。お前がやったのか!?」
「違うよ。俺じゃない。箱の中にはまた別のモノも入っててさ…」
 どう言う事だそりゃ。
「そんな事より、今頃この村の連中もこの子と同じことになってるぜ多分」
 何だと!?
 俺は慌てて階段を駆け上がった。



 1階に戻ってみたら、悪ガキ連中がエルと同じように青い光を帯びたまま固まっていた。…俺の母親も同様だった。何だよ、これどうなってるんだよ。
 …箱を開けた俺が悪いのか?
「――馬鹿モンが!」
 不意に罵声を浴びせられた。しかし今のこの状況では、心に染みる。
 長老が、帰ってきていた。



「お前が箱を開けたからこんな事になったんじゃ。しかし村の皆を戻す方法はある」
 教えろじじい。責任は俺が取らなきゃならないからな。
「この村の外に、試練の塔と呼ばれる塔が5つあるはずじゃ。その塔を解放していけば、村の人間全員が元に戻るはずじゃ」
 へー。でも俺この村から全然出た事ないよ。てゆーか村の全員が出た事ないんじゃない?外ってどうなってるのかなあ。そう言う興味も湧いて来る。
「お前が開けた箱はパンドラの箱と言うもんじゃ。開けてはならぬと言ったのに…」
 悪かったってば…でも開けたからには俺がどうにかしなきゃならないだろ?
 あれ?あの箱どうなったっけ?
「お前が持ってるじゃろうが。箱は開けた人間に従う。つまり、今はお前じゃ」
 そういやヨミもそんな事言ってたな。あいつも普段は箱の中に居るのか。箱の内部の説明を判ったように言ってたし…そもそもあいつ何者だ?箱に封じ込められていたのか?それとも箱自体の精霊みたいなもんなのか?…訳判んねえや。
 ともかく、俺は村の外に出る事になった。初めて村の外への門をくぐって。


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