「エスペリダス・オード」最新感想

第1話

 堤抄子の新天地は一迅社のコミックREXでした。
 
 新連載やるならGFと同じ流れを汲むゼロサムかと思ってたのでちょっと意外。でも基本的に骨子がしっかりしている漫画を書く人なので、少年漫画誌に掲載した方がいいのかもなー。それにREXも読んでみたらGFみたいな「どちらかと言うと女性向けファンタジー」な漫画載ってるし。
 ちなみに前回読み切りが掲載されたWARDですが、微妙なやおい雰囲気を保った漫画が結構あったので、買って読んだ後、正直引いてました…WARDに連載されたら、購読無理だったかもしれん。
 そういや件の読み切り「夢見る魔法」の流れを汲んだ連載じゃないんですね。読み切りから連載になるってのが良くあるパターンなのですが、今回は違うようです。

 と言う訳で長崎での発売日に速攻で購入してました。感想を書くのが遅れたけどなー。
 「10日発売」だと思ってたけど、「9日発売」だったんだね。感想らしきものが書かれているサイトさんをまだ巡れねえ。

 と言う訳で1話感想をさっさと書いてしまいます。今回の連載は話ごとにタイトルをつけないんですね。他の連載作品にはきちんとタイトルついてる奴もあるので、雑誌の方針ではなさそうですが…楽しみがちょっと減りました。

 漫画タイトル「エスペリダス・オード」が11月号で掲載された訳ですが、耳慣れないカタカナを使用したタイトルだったので「どんな話だろう」と思ってました。
 今月の第1話で英語表記が併記された訳ですが、つまりエスペリダスとはこの漫画の舞台となる大陸の名前。
 オードとはodeと言う英単語。辞書で引いてみると、頌歌とか賛歌とか、そう言う意味みたいですね。
 つまりは「エルナサーガ」と同じようなタイトルか。あっちは人名、こっちは大陸名。差別化のつもりなのか、それとも意味あるのかな。

 で、センターカラーでの新連載ですが、巻頭カラーみたいな形式になってますね。カラー表紙だけではなく、きちんと漫画から載ってる。
 呪歌(のとうた)と言うものが存在するからでしょうか、呪歌だけではなく普通の歌も重要な意味を持つ世界観のようです。だから「エスペリダス・オード」以外にも色々な歌が出てくるので、ちょっと構成に戸惑いました。

 最後まで読んで、何度か読み返して把握しましたが、カラーページ冒頭は未来の話なんですね。
 「楽士殿の祖国」=エスペリダスと思われるので、このカラーページの舞台はエスペリダス大陸の外部と言う解釈でいいんですよね。最初から大風呂敷を広げてます。しかしこう言う構成にしてるって事は、この話はエスペリダス大陸からは飛び出さないって事にもなるわな。
 「最上の叙事詩」=エスペリダス・オードって事か。この物語は「秘曲とされ…唄う事を禁じられております…」と言う扱いになるらしい。って事は、この世界観では全ての歌にそれなりの魔法(と言うべきなのか)が込められているのかな。それともエスペリダス・オードだけが特別?
 「この物語がこの地で教訓となるように…」と言うのも意味深だ。「教訓」って何だよ。単純な英雄譚じゃなさそうですよ。
 
 そしてこの「楽士殿」ですが、どうも未来のナシラのように思えてなりません。
 REX上では彼女のカラーは公開されていませんが、堤抄子公式サイトではカラーイラストが公開されています。それと比較すると、髪の色が一致しているように思えます。
 更に分析すると、「楽士殿」が手に持っている竪琴が、ハマーマが持つ物と同一であるようにも思えます。ハマーマが竪琴を持っているイメージイラストはこの第1話で2カットありますが、それと照らし合わせると形状が一致していますし。
 「魔詠歌手はこの形状の竪琴を持ってないと、呪歌を歌えないのか」とも思いましたが、第1話ラストに出てくる魔詠歌手は違う形状の竪琴(全体は似ているが、上部の形状が違う)を持ってましたし。ハマーマが持ってる竪琴とは区別化されてる。
 
 この2点から、「ナシラは将来ハマーマの後を継いで魔詠歌手となる」と、推測されます。と同時に、この物語上、彼女は死亡する事はないとも思われます。
 とは言え「エスペリダス・オードを作った本人」=「この物語に最後まで付き合う事になる」とも言い切れない。この物語で語られるパーティから途中で脱落してしまうかもしれない。
 それに「叙事詩を作った人間」と「そこに語られる冒険に参加した人間」がイコールで結ばれる訳でもないもんなあ。各地に遺された冒険譚を繋ぎ合わせて叙事詩と言う形に編纂しているのかもしれない。
 …そうすると、楽士殿はナシラ本人じゃないかも。ナシラの子孫かも。うーん考えれば考える程ややこしい。

 …カラー1Pからえらい、想像の翼を広げてしまった。
 いい加減、本編行きましょう。

 白黒ページ冒頭で、ナシラによって歌われているのは、以前の退魔大戦の歌ですね。歌詞の分析をしようかと思ったが、明確な文章ではなく歌なので止めた。白髪三千里の世界だろうし。
 彼女はエスペリダス大陸から離れた島の出身。田舎の農家の生まれ。竜と歌を交わした事から、魔詠歌手になる夢を抱く。
 竜は「さすが大陸に近づくと多いんだあ」で「たまたま通りかかった竜と目が合って」と言う扱いですから、彼女の住む辺境の島でも普通に見かける存在だったんでしょうね。珍しいもんでもない。

 エスペリダス大陸では竜をタクシー代わりにしている。「ワンメーター」って、どうやって測ってるんだろう。こっちは「知恵のない使役竜」で、知恵があるのは「真竜」。ナシラと歌を交わしたのは、真竜なんだろうな。真竜は滅多に町には来ないらしい。

 伝えられる「退魔大戦」の話。
 勇者アースィファ、賢者スハイル、魔詠歌手ハマーマ、剣士アクベンス、竜人ラスタバンの5人は、魔族を激戦の末滅ぼし、魔族の力の源である2つの剣と3つの呪歌を5匹の竜と契約して彼らに守ってもらう事にした…。
 
 イメージカットを見るに、メンバーのビジュアルは以下のように予測。
 
 右端の長髪の男=勇者アースィファ
 右前の女性=魔詠歌手ハマーマ(他にも単独カットがあるので確定)
 右後ろの髭の男性=賢者スハイル(杖を持っている辺り、賢者っぽい)
 左前の兜の男性=剣士アクベンス(剣を持ってるし戦士っぽいから「勇者」と言うより「剣士」かなあと)
 左後ろの頬がこけた男性=竜人ラスタバン(消去法により。横顔だから判り辛いが、耳が尖っているようにも見える?)

 ってここまで書いといて何だが、「アースィファ」って男なのか女なのかどうなのか。髪で顔が見えないし横顔だから、ちょっと判断がつかないように思えた。
 「アクベンス」よりは華奢だしなあ。でも「アクベンス」は重装備の鎧を着ているから「アースィファ」よりがっちり見えるだけかもしれないし、「アースィファ」はリョート系の優男なのかもしれない。
 こうして見ると、きちんと顔出しされているのはハマーマと「スハイル」だけですね。ハマーマは今までイメージカットがあったから読者には容貌バレしてますし、「スハイル」は「ワサト公国の宰相だったから王宮に戻った」との事ですので、この世界の人々には容貌バレしてる訳です。
 他の3人は全く行方不明らしいからな。その差別化かね。と言う事は「スハイル」にも確定マークをつけていいのだろうか。

 退魔大戦から現在は「何十年」経ってるらしい。そりゃハマーマがまだ存命だとナシラが思う位ですから当然か。
 しかしその割に、「魔族」の容貌がきちんと伝わってないのはどう言う事なんだろう。退魔大戦イメージカットでは、まんまばけもんですがな。
 
 魔族は顔にアザがあるのが特徴。それ以外は…通常の人間と変わらない?
 それって生物学的には「人間」と同種なのでは?つまりは蒙古斑が顔に出てずっと消えないみたいなもんだろ?
 
 そう言う「人々」と大戦が勃発して「人間」が勝利したって、どんな状況だったんだ?魔族=アリア族と呼ばれる連中が立てた国との戦争?でもアリア族はエスペリダス大陸で「息を潜めて隠れて暮らしてる」んだよなあ…わざわざエスペリダス人の中で。エスペリダスってそんなに狭いんだろうか。辺境に国を新たに作るとか、そんな余裕はなかったんだろうか。
 国と国との戦争だったなら、エスペリダス大陸に住んでる人(つまり、竜タクシーのにいちゃんとか)は「退魔大戦の歌なんぞ嘘っぱちで、真相は単なる戦争だったんだ」と判ってそうですが、口振りからしてそうでもなさそうだし。
 鋼におけるイシュヴァール人みたいなもんか?容貌がちょっと違う人間で、違う文化を持っていて、(喩えて言うなら)武僧はやたら強い。色々あって国内で内戦勃発させた挙句、国の主流を占める民族に殲滅されて、現在では生き残りがスラム街を根城にしている。
 他にも我々の世界で言うなら、日本神話における国津神や妖怪とか、キリスト教における聖者伝説みたいなもんですかね。主流派が争いの末従わせた少数派を、化け物扱いして自分達の「物語」の中に組み込んでるようなもの。
 
 …だとしたら「魔族を激戦の末滅ぼし…」みたいな、魔族を別の怖い生物として見なしている「英雄譚」って何なんだろう。大戦から「何十年」しか経ってないのに。中世ファンタジー世界だから情報の伝播速度及び正確さは現代と比較したらいけないのだろうけど、竜が居るからなあ。その辺、我々の世界の中世世界の常識から逸脱してるし。
 良く判らん。もうちょっと「退魔大戦」の話を訊いてみないと。多分「賢者スハイル」辺りはそのうち本編にも出てくるだろう。

 ナシラは魔族の竜に乗り、カティフの町に着く。会話してるうちに着いちゃったみたいだから、東南の港ハハルからはそれ程遠くはないようだ。少なくとも、竜タクシーが存在するこの世界では。
 そこには確かにハマーマが居た。
 しかし、すっかりボケ老人と化していた。近所の主婦クッバラが面倒を見ているらしい。
 この老女がハマーマである事実は知られていない。しかしクッバラはその事実を知って、世話をしている。
 これって、伏線?後の、アルドが喧嘩してるシーンで、クッバラは用心棒っぽいごついおっさんの手を捻り上げていた。もしかして、クッバラは、退魔大戦の関係者?勇者一行をサポートしてたりしたんじゃなかろうか。

 ナシラはボケ老人と化していたハマーマの姿にショックを受け、家を飛び出す。更に、魔族に全財産が入っていた荷物を持ち逃げされ、独りカティフの町を歩く羽目になる。
 そこでチンピラに絡まれてたら、喧嘩しまくってるアルドと遭遇。

 ………えーと、こいつ、主役?
 カラー表紙に居たし、公式サイトのカットでも前面に出ていたし。遅い登場だった…。

 アルドはチンピラ相手には強いようだ。
 と言うか、力任せ?剣の心得があると思いきや、滅茶苦茶だったし。後ろから抱き抱えられてもそのままぶん投げる事が出来るとは、相当なもんだな。

 アルドのおかんであるクッバラ出現により、喧嘩は収束。おかん発見でよそ見したアルドはぶん殴られて気絶した。
 そこに現れたハマーマは、癒しの歌を歌ってアルドをステータス気絶から復活させる。

 癒しの歌は魔詠歌手が最初に習うもので、人を助ける第一の呪歌。
 とりあえず歌うだけ(歌詞と抑揚が重要だと思われる)で発動。竪琴は特に必要とはしない。これは他の呪歌にも言える事なのかは、謎。初歩の呪歌だから、竪琴を必要としないだけなのかもしれない。
 エルナシリーズにおける呪文ラーニングの早さを思うに、これでナシラは「癒しの歌」をラーニングしたと思っていいのだろうか?それとも修行編を挟まなくては魔詠歌手デビューは出来ないのだろうか?

 結局アルド一家にお世話になるナシラ。
 食卓にはハマーマは並ばない様子。同居はしてないんだな。まあ「近所の主婦」って表現だったし。と言う事は、日常生活を営む事が出来る程度の深度のボケなんだろうかハマーマ様。
 クッバラの旦那は職人さん。アルドは彼の仕事を覚えなければならない程度の年齢になっているらしい…この世界観から考えると、14,5歳位かなあ。
 しかし「そんな事ないと思うけどなあ」と顔を赤らめている辺り、ナシラはアルドに惚れましたか?第1話だってのに、早い展開だ。田舎娘はこれだから世間知らずで。

 そんな風に激動の1日を過ごしたナシラ。「明日もよき日でありますよう…」と祈って眠りにつく彼女ですが、その頃エスペリダス西部ナハルでは…。
 …ハハルやカティフがエスペリダス東部だから、正反対の方向なんですね。でも同じ夜か。エスペリダス大陸は大きな時差が存在する程にでかい大陸でもないのか。それとも、ファンタジーのおやくそくみたいなもんか。…つっつー作品だからついついファンタジー漫画でも「丸い惑星」で想定してしまうけど、この漫画は「SF要素入れません」だから、平らでもいいんだよな…。

 天雷剣を守護していた守護竜バルクが、魔族の王胤(つまり魔族の王族)エルハイアの襲来を受けていた。
 縛めの呪歌を歌う女性に対して「いずれの騎士の魔詠歌手か」と尋ねる辺り、魔詠歌手ってのは騎士に付くものなんだろうか。単独で存在するものではなく。だとしたら冒頭の「楽士殿」も、誰かと一緒に旅をしてたのかなあ…いやそこまで話を飛ばさなくてもいいか。

 天雷剣について。
 「かつてこれによって人の世が乱れ、そのために竜族が護るようになったアリアの剣を!」
 「普通の者は抜けぬ扱えぬ」で、エルハイアが抜いたら「貴様、魔族の王胤か!」

 …つまり、この剣は、退魔大戦においては、魔族側が振るっていたって事か?そしてこの剣は魔族なら誰でも使えると言う訳ではなく、魔族の王族でないと使えないって事?
 ちなみに、カラー表紙でアルドが持つ剣は、この天雷剣ではない。もう一本、竜が守護していると言われる剣の柄と同一。こっちは人間のみが振るえる剣と言う事か?
 同じような力を持つ剣を両方とも封印してるって事か。退魔大戦に謡われる勇者達は、結構公平な連中だったらしい。魔族にも人間にも、大きな力を保有させないって事だから。そう考えると、退魔大戦の勇者達って、人間側と言うよりも調停員みたいなもんだったんだろうか。

 「かつてこれによって人の世が乱れ」…って台詞をどう解釈すべきか。「この世」じゃなく、「人の世」と言う表現に、意味はあるのか?
 魔族の剣によって人間の世の中が乱れるとは、どう言う事だろうか。魔族がこの剣を振るって人間を侵略したなら、もっと別の言い方があるはずだ。

 エルハイアはバルクを倒し、天雷剣を入手する。
 …バルクは開きにされたと思っていいんだよな。あの描写じゃ。産んだ卵達は無事なんだろうか。無事だったとしても親なしで孵るんだろうか。

 「我が悲願を叶えられる時が来た…これよりアリアを再興する!」

 こう言い切れるって事は、エルハイアの元にはそれなりの手勢が居るって事になるのかな。国もない状況から「再興」って言うのですから。これから人間の国に戦争を仕掛ける?
 そういやエルハイアに従う魔詠歌手の女性、魔族にしては顔にアザがないよなあ…と思っていたのですが、最終ページで俯いてるシーンで、額の左に微かにアザがある?でもこれ、眉と前髪が被さってるだけか?
 エルハイアと言い、ナシラの荷物持ち逃げした魔族と言い、顔にあるアザはかなり判り易いんだよな…。この女性が魔族でないとしたら、エルハイアに従ってる理由は何だろうなあ。

 以上で第1話終了。
 とりあえず世界設定の解説をやりつつ、序章めいた展開。呪歌は魔法のようなものだが、普通のファンタジー世界における「魔法」とも一味違うようで…これからの展開が楽しみ。

 それにしたって喧嘩好きのニート小僧でしかないアルドが、これからどういう展開でカラー表紙みたいな「竜を従え、伝説の剣を持つ」事になるのか、全く読めん。エルハイア一行だって現在位置は西部なんだから、事を起こしてもいきなり東部に影響が及ぶとは考え辛いし。
 エルナ2みたいに2話で急展開するのかな。あれは2話冒頭でいきなり「本当の御両親」とか言い出されて、びびったよ…。
 
 アルドのおかんが勇者の関係者だとすれば、その縁から何かが始まる?エルハイアが事を起こして西部が壊滅したりして、東部の人間達が対策を練ろうとして、それに関わるかどうかは判らないが、アルドが冒険の旅に出る事になる?

 …もう既にREX次号出てるから、この感想も思いっ切り外してる部分があるんだろうなあ…。


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