「聖戦記 エルナサーガ2」感想/第6巻分
04年5月号〜04年6月号、05年8月号〜10月号掲載。基本的に雑誌掲載時の感想。

聖戦記エルナサーガ2 6巻 (6)聖戦記エルナサーガ2 6巻 (6)
堤 抄子

スクウェア・エニックス 2005-11-26
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単行本収録時のエラッタ
  • 折り返し作者コメント。やはり堤抄子とは戦争を描く作家なのだなあと思った。
  • 思った通り第34話が改題。何を考えて<2>とかつけたんだろう。
  • 目次イラストは初代勇者。


第38話「闇の呪縛」

 うわ。何この欝展開。
 それでも「一筋の希望」を残してる辺りが、エルナサーガらしい「欝展開」ではあるんだけど。

 正統修道会と聖修道会は、裏で繋がっていた!
 
 このふたつの教団の位置づけを、我々の世界に当てはめるならどんな風になるのか。この感想でもたまに考察して来ましたが。どうやら「穏健派イスラム」と「過激派イスラム」みたいな解釈で適当だったようです。仏教とごたまぜ信仰宗教(オウムとか)程急進的かつ非社会的団体みたいな認識ではなかったようです。
 信じる神は同じで、元々正統修道会側で将来を嘱望されていた修道士が新たに起こした分派だから、他の修道士や信者も抵抗なく聖修道会についていけた訳か。しかしその実態は非社会的で終末思想を持つ宗教団体。おそらくその実態を知るものはごく僅かだと思われる。非常に巧妙だ。

 正統修道会の法王とバルドゥルの過去が明かされる。
 16年前、バルドゥルは正統修道会に入信し、神学を修めていく。そして「神の声」を聞いたと称し、聖人クラスの法王が誕生するかと期待された。
 が、法王は、バルドゥルが犬に暴力を振るうのを目撃する。
 バルドゥルの袖に噛み付く犬に対して彼は棒を振るい、最後には刃物すら抜いた。あの出血量じゃあ、死んだだろ…。
 このような暴力性を目の当たりにし、法王はバルドゥルが言う「神の声」とは何だ?と疑問を持ち始める。

 自分に楯突くモノに対して過剰な暴力で排除しようとする。と言うか修道士なのに刃物携帯してるって何事だおい。
 ともかく法王はバルドゥルに対して危機感を抱いたようだ。その当時妻と決めた女性と結婚し還俗するつもりだったが、その彼女を捨ててまで修道会に残った。そしてかなり無理をしてでも法王の座を射止め、バルドゥルを破門した。

 …この過去を見る限りでは、バルドゥルは当初は正統修道会で全てを行うつもりだったんでしょうね。わざわざ聖修道会と言う新派を立ち上げるつもりはなかった。
 しかし正統修道会を破門された事により、自分の正義を正統修道会で行う事は出来なくなった。だから聖修道会と言うアンチテーゼを作り上げた。
 「信者の半数は我が教団に奪われ、もとより反感もある修道士達は我が方へつき」と言う事は、聖修道会はかなり社会的に認められている団体だったようだ。ならばあの強制捜査は社会的にも物凄く物議を醸しただろうな。力がある分派の教団で、まあちょっとはテロへの関与などで怪しいかもしれないと思われているがそれは一部の過激派に拠るものだろうと言う一般認識で…そこに強制捜査するんだから。マスコミや一般世論でも賛否が割れたんじゃなかろうか。
 日本に当てはめてみると………と、具体例を挙げるとこのサイト潰されそうなので止めておきます。ともかくそんなノリだったのかな。

 法王と結婚するはずだったが捨てられた女性の子が、ベリエル。ベリエルの恨みっぷりを考えるに、法王は理由を話す事もなく彼女を捨てたようだ。
 しかしベリエルは法王を殺さなかった。
 行動の自由が与えられていた時期になっても、だ。
 ぎりぎりの、無意識の、信頼関係がそこにあったのか。それとも法王は我が息子にはそんな事は出来ないと考えて子飼いにしていたのか。それは判らない。

 バルドゥルの、そして「神々」の企み。
 もうじきこの地上に大いなる災厄が降りかかる。しかしいくつかの大聖堂だけはその災厄から守られる。神の力で守ってやる。
 それが起こるのは「聖エルナ祭」の日。どうやらもうすぐらしい。
 敬虔な信者は大聖堂に集まるだろう。その、正統修道会の敬虔な信者も、神の御業で災厄から救ってやろう――その取引により、法王はバルドゥルに、聖修道会に屈した。
 「信じる神」が同じだから、バルドゥルはこんな考え方が出来るんでしょうね。神が同じなのだから、一般信者は正統修道会も聖修道会も同じ事だと。

 と言うか段々不思議に思って来たんですが。
 この時代だと「神々」と「エルナサーガの時代の英雄達」って、同一の信仰対象なんですね。初代エルナ達も聖人として正統修道会にすっかり取り込まれてしまっている。
 でも初代エルナ達って別に神々を信じて戦った訳じゃない。むしろ神々に対するアンチテーゼだったと思う。「いつまでも神を恨み続けるあなたを超えて、私達は新しい世界に行くんだ!」でしたから。
 じゃあこの世界における「神への信仰」って、何だ?「神」とは如何なる存在か?天空に去った神々とは知られているのか?
 「神」とは、我々の世界と同じく不可思議な存在と言う認識なのか?それとも…?
 …とか考え始めてしまった。

 「私を信頼する者などおるまいが、そんなものを越えて正義の信念のもと戦える修道士を、私は一人知っている!」
 法王はそう言い切る。つまりはベリエルの事だろう。
 …この分だと、多分ヴァルが推測してるように(俺も以前推測したように)、特務機関まるごと破門したのはやはり聖修道会と戦って貰うためなんじゃないのか?だって転移装置残してるもんなあ。工場にメンバー残したままの破門だもんなあ…。
 やはりこの親子には、ぎりぎりの信頼関係があるのだと思う。少なくとも親父は、それがある事を信じようとしているのだと思う。息子はそれに反発しつつも無意識に信じているのかもしれない。

 「聖エルナ祭」の時に大いなる災厄が降りかかる。が、大聖堂にいる人々は無事救われる。その取引を法王が行い、聖修道会に屈している。
 エルナ1における法王にも似ている行動ですね。魔風から身を守るために封魔呪の扉をドヴェルグを犠牲にしてでも開けさせようとしたんだよな。それに較べたらまだマシなのだろうか。
 でも信者じゃない一般人は見殺しなんだよな…。救える人だけは救おうとしているだけいいのだろうか?かなり受動的なんだけど。
 とりあえず、聖剣抜いた際に自分達のネットワークをフル活用して全世界の人を救おうとしたアースムンドやラタトスク達>>>敬虔な信者だけでも救おうと敵勢力と取引した現法王>>(越えられない壁)>>自分と修道会の首脳部のみを生かすために封魔呪の扉を開かせようとしたエルナ1の法王…と言う評価で宜しいか?
 まあ、上から順に「世界樹が復活して全世界に生えつつある」「何個か大聖堂が残されている」「大聖堂は1個のみ・世界樹の力が及ぶのは封魔呪の扉の向こうのみ」と言う風に、救う人数のキャパも違う訳なんだけど。それを考慮するとまた順列も変わってくるのかな。

 バルドゥルの過去。
 …DV被害者か!物凄く意外な過去だった。
 しかしそう考えると…ここまで歪んでしまったのもまた、理由付けになるんだよな。

 彼は母親に暴力を振るわれた。刃物まで抜かれて切りつけられてる。殺されかけたとも言えるかも知れない。
 が、そんな母親も、病に倒れ、彼に救いを求めた。
 そんな母親を彼は「許した」。そこで神の声を聞いた。偶然脳内チャンネルが神の声に合ってしまったのだろう。

 ………うーん。
 エルナ2は現実社会の問題点を色々と抉ってきてる話だとは思ってたが。
 敵側大物もこう来たか。DV被害者だから、こんな風に過剰な攻撃性を持ってしまったのか。その攻撃性を「神」と言う後ろ盾で正当化出来るから、こんな風になってしまったのか…。

 「私に楯突く者は許せないのです」

 彼は「信者を増やす事で一人でも多くの人類を救おうとしているに過ぎない」と言う。自らの正義を確信している。その「正義」に楯突くものは「殺す」と言う。

 傲慢で、狭量な正義。
 しかし彼はそれを信じ、絶対的な正義だと疑わない。あるひとつの正義にはアンチテーゼの正義があるかもしれないと言う事を、考慮しない。

 その攻撃性は、自らに楯突いたエルナにすら向かう。
 魔法を打ち込む。あくまでも弱い魔法で彼女を切りつけ、傷つける。
 痛いなら命乞いをしろ、救いを求めろ、ならば助けて、治してやると微笑む。

 それは…彼の母親と同じ事をしている事になるのか?
 圧倒的な力で傷つけ、それを治す。人の存在を弄ぶ。

 どんなに憎んでいても、最後に救いを求めたら、神は許すだろう。

 それは、バルドゥルの実体験とリンクしているのだろう。だから、彼は「神」を「信じる」事が出来るのだろう。

 …何というか…痛いね。色々と、痛い。重い。
 個人的にはここが今月号で一番欝な部分だった。作中で言葉を費やして語ってる部分じゃない、数コマのみで彼のDV体験が描写されてるだけなんだけど。その破壊力が抜群過ぎた。バルドゥルのパーソナリティがここに集約されてる。

 エルナは傷付き、虚ろな瞳になっている。
 彼女がバルドゥルに対して何を言うか。それが話の転機になるだろう。助けてと屈するか?それとも黙ったままか?何も言えないまでに傷付いたか?

 一方、ヴァル達はチャージ終了次第に大聖堂に突入する事になった。
 聖剣ないし、大丈夫なのかね。ヴァルとリョートだけじゃなくて、特務機関からも何人か連れて行くか?でもここに転移装置あるのは僅かな正統修道会の修道士も知ってるだろうし、守りが必要だよな。だとしたらやはり行くのはふたりだけか?
 突入したふたりがまずエルナクローンと出会うってのが、鉄板展開になるのかなあ。

 今月号は本当に色々と考えてしまうんだが。
 神の災厄が迫ってきていて、救える人間だけ救うってのもまたひとつの正義ではあるんだよな。だから一方的に法王を責められないが、彼は自らの身までを犠牲にするつもりもないと思う。結局自分も救われるつもりなんだろう。でも、指導者となるべき人間は生き残らなくてはならないだろうから…って自分がその「指導者」になるつもりなら、それこそ傲慢なんだが。
 バルドゥルもまた「一人でも多くの人類を救おうとしているに過ぎない」と考えている。その考え方だけなら、いいんだよな。只、その彼の考えに同意できない人間を「妨害するな」「殺す」と、攻撃的になってしまうから、駄目なんだよ。

 或いは、エルナ達は「災厄が降りかかるなら、その元凶を取り除けばいい」と考えている。神の影響力を消す、神殺しすら厭わない…そんな方法を取るのだろうか。それは修道士達の考え方とは根本的に相反する。

 今ある状況の中からベターな選択肢を選ぶのか。それとも、この状況を打破してベストな選択肢を見出そうとする賭けをやるのか。
 英雄物語なら「ベスト」を選ぼうとすればいいんだろうけど、これはあくまでも現実を舞台にした物語だから「何かを犠牲にしたベター」の選択肢もあり得る。難しいよな。

第37話「ふたりのエルナ」

 えー今回の感想ですが、まずいつものように真面目な話ではなく。

 つっつーは本気だよ。奴はマジで俺を萌え殺そうとしているよ。現神姫での薬の口移しにも「良い少女漫画テイストだなあ」と萌えたが、まさかエルナ2で米俵2俵は喰えるおかずが来るとは思わなかったよ。
 本誌読者の方ならお判りですね。さあ皆さん御一緒に。

 「ヴァルにもまだ何もされてないのに」されてないのにてないのにのにに…

 バルドゥルに囚われたエルナが治療のために太腿を触られてた事に驚愕した発言ですよ。
 つまり、ヴァルならいいんだな!ヴァルなら触られても、そして………!
 ……以前のリョートのようにむしろ貧血しそうです。

 脳が沸いてしまいました。ここから考察感想始めたいと思います。

 相変わらず物語の舞台を複数に分けておいて、そのふたつを絡ませる手法は見事だと思います。バルドゥルは「神に全てを委ねればよい、そうすれば苦しみから解放される」と信者に説き、一方のヴァルは「やってみて上手く行かない事はいくらでもある、駄目だった後でも自分の足で立って考えるんだ」とリョートの胸倉を掴む。見事に好対照。

 バルドゥルは相変わらず治癒魔法フリークでしたな。エルナに手枷つけてる理由が「強大な魔法の遣い手であるあなたが意識が戻って手が自由なら、自分で治癒魔法して治してしまうじゃないですか!私は全く面白くない!」と真顔でエルナに言う。…まさか、それが全ての理由じゃないとは思うが…7割方は本気なんだろうな…。
 ともかく、お互いとも持っていたイメージから外れていたらしい。しかしバルドゥルよう、あんなに魔法どっかん娘やってきていたエルナが「もっとおしとやかかと…」と言うのは、お前夢見過ぎ。

 一方、ヴァルサイド。本当にベリエルは「クッキー工場のにーちゃん」として馴染んでしまってますな。元々表向きは「クッキー工場の人間」として正統修道会にも居たんだろうが…特務機関は裏の仕事だとして。
 とりあえず情報まとめて、またリョートが落ち込む。スヴァンの時よりも重症な事に、涙まで流す。確かにスヴァンの時には「エルナ様の心まで得たいと願い、しかしそれは叶わず」で、「せめて御身をお守りしたいと願った…」と自分の使命をランクダウンさせた末に、それすらも叶わなかったのが今回のバルドゥル戦だもんなあ。
 本当に、何も出来なかった。ヴァルみたいに呪文の知識が豊富な訳じゃないからエルナにアドバイスも出来ないし、魔法の力はそれこそ「俺達が完璧に守られちゃってる訳だが…」とヴァルとふたりでぽかーんとしてみせる位歴然とした差があるんだし。自分の身を盾にする事すら出来なくて、そのままバルドゥルの護衛に殺されそうになった。それって、彼にとって、犬死以外の何物でもないだし。

 そんなリョートにヴァルはブチキレる。「自分の無様を最後までは見届けたくないだけなんだよ!」と。

 「やってみても駄目だったって?そんなの俺なんか慣れてる!駄目だったらどうするんだ 神様に祈るか?聖修道会にでも叶えてもらうのか!?」

 領事館事件で、まだだまだだと叫びながら走ったヴァルの姿が思い起こされた。ヴァルは弱いが、本当に性根は強い。本当に…ここまで逆境に陥って、殆どの事件で自分の無力さを思い知ってるのに、「神」や「信仰」に縋ろうとしないなんて、凄いよなあと思う。
 それに、リョートはヴァルがいるからこそ、こういう風に弱音吐けるんじゃないかなあとか思った。ヴァルがいなかったら独りで煮詰まって、無謀な特攻とかかましてそうだよ全く。

 さりげなく、ヴァルが「もし俺が死んだらお前がエルナを守って欲しい」と、自らの手で死亡フラグ立てに行きました。ついでにそれを裏付けるように、咳き込んで吐血です。ヒーローの宿命みたいなものにはまりつつあります。
 …最後に死ぬのかなあ。でもリョートの方が数倍ヤバイキャラだと思ってたんだけど…死に急ぐ男どもだ全く。

 一方、タイトルにもなってるふたりのエルナ。
 エルナクローンが、自分が魔法を使えない事を気に病んでるって事は、実は魔法は皆が使える「技術」に過ぎないと知ってるって示唆か?僧侶にしか使えないと(他の聖修道会信者のように)信じているなら、彼女はそこまで気に病まないと思う。そういう考え方を持つなら、彼女だけが特殊な訳ではないのだから。
 プリンセス☆エルナはさりげなく初代エルナの伝説を彼女に伝え、そしてエルナクローンはそれを喜ぶ。…って今文章書いてて思いましたが、やはりエルナが3人いるのは考察感想上とっても面倒臭いなおい!

 バルドゥルはふたりが仲良くやってるのを目撃し、やはり危惧する。エルナクローンに余計な事を吹き込まれたくはないんだろうな。
 怒られたエルナクローンはもうプリンセス☆エルナの所には来ない…のかなあ。多分いずれはプリンセスに味方するフラグが今立ったのだとは思うけど。

 聖修道会の信者と僧侶は、強制捜査が終了して釈放された後忽然と姿を消したという。全ての教会が捜査に入り、全ての教会がもぬけの殻になっている。では彼らは何処へ?
 ベリエルは「建設中のあの建物が完成したのかもしれないな…」「僕の立場では近寄れない」と言う。そして手枷を解いて貰ってたエルナが辿り着いた先は、大聖堂――?

 おいおい大聖堂ってスヴァンが死んだ後にエルナ達3人がベリエルに匿われた、正統修道会の本部だろ!?今4巻持ち出して見比べたけど、エルナが見上げてる天井なんてそのまんまだよ!
 いやでもまさかこんな近代的な建物を抜けてあんな天井が広がってるなんて、そんな構造には4巻時点には見えなかった。じゃあ別物?でも、何処に?エイリークが茂った世界樹で、まだ現存していた部分があった?それを秘密裏にいじった…?
 てゆーか、聖修道会が勝手にいじったなら、ベリエルが「今の僕の立場では近寄れない」なんて言う訳がない。今の僕の立場――つまり、正統修道会を破門された立場。じゃあ、この建物は、正統修道会のモノ?
 判らん。全く判らん。

 そんな事言ってたら、エルナの肩に手を置く何者かが出現。さあ誰だ?

 …袖口を見るに、僧侶だよなあ。でも正統修道会も聖修道会も基本的に僧衣一緒だから見分けつかないよなあ。
 それに、エルナが歩いてきた建物側から手が伸びたんだよな。彼女を追ってきて、彼女を止めようとした?じゃあ敵側?

 そんな感じで今月号感想終了です。やっぱりエルナの超絶萌え発言に脳味噌8割持っていかれてると思います。

第36話「謎の少女」

 祝・毎号連載再開。

 ゼロサムのアダが完結したおかげで、GFのエルナ2の連載も毎月載る事になりました。明言はされていませんが、おそらくは今の36P形式で毎月掲載になるのでは…幸せですな。

 冒頭にはダイジェストマンガ。おそらくぱにぽにアニメ化による新規読者のために、各漫画にそれぞれダイジェストやら相関図やらが掲載されています。エルナ2は書き下ろし1P。単行本には載るかなあ。
 とりあえず「魔法のプリンセス☆エルナ」は、ミニスカ同様に作者公認らしいです。リョートは「その他約一名」扱いにまで堕ちたのか…。ヴァルは「いわゆる謎の変身ヒーロー」と言うことですが、めくった1P目でいきなり敵方に正体ばれとりますな。

 今月号は情報が多いので色々まとめて行きます。漫画のページ順になるかなあ。

 バルドゥルが語る「聖鎧の事実」。そしてヴァルが特にそれに対して動揺を見せないのを見るに、ヴァルもそれは知っていたようだ。
 聖鎧の対・封魔呪は不完全で、そのために勇者は死に至る傷を負う事になった。それはセルマが見ていた聖鎧の内部写真に写る血痕が物語るのか。ヴァルはあの血痕は単なる怪我によるものではないと判った上で、自分の命を削って戦う事を知った上で、白き騎士になっていたのか。

 初代勇者は魔獣にとどめを刺せず、かろうじて魔風を避けるためにノルズ山頂に聖剣を突き立て、そして死んだ。それがバルドゥルの話。
 …初代勇者がアーサトゥアルの祖じゃなかったっけ?彼が生前に遺していた子供が建国した?それとも、アーサトゥアルという国は既に存在し、その国の王子とかそういう感じか?或いは…マジで「ノルズ山の麓に位置する国家」と言う名目から、アーサトゥアルは「勇者の子孫の国」を標榜していたのか?本当は勇者の血筋ではない…とか?

 それに、その時点で死んでるとなると、勇者が炎魔剣と聖盾を(後の)アンサズ領に封印したのは何時だって話になる。炎魔剣は、魔獣を制御する剣(と言う言い伝えがエルナの時代にも残ってたんだから、勇者の時代には事実として伝わっているだろう)なのだから、それを用いずに魔獣との決戦に挑むとは考え辛い。
 大体、聖盾持って魔獣に挑んだのは確定事項なんだよな…。だから魔獣戦後に封印じゃないとおかしいし。勇者の幻影も血まみれだったから、魔獣戦後とすれば辻褄合う。
 考えられるのは、バルドゥルが炎魔剣の封印の事を知らなかった?………んな訳ないだろうけどな。「エルナサーガ」できっちり細かく描写されてると思うし…。

 で、本題。この驚愕の展開に、全てが吹っ飛ぶ。

 初代エルナのクローンーーーーーーーーーーーーーーー!?

 おいおいおいおい「髪の毛から遺伝子を抽出してクローンを作った!?」って、髪の毛からクローン作るには毛根必要なんだぞ。普通遺髪ってのは棺に安置する際に刈り取るはずで、まさか毛根ごと引っこ抜く訳じゃあるまい。
 そりゃあ魔精霊なんかの力を借りたらある程度の不具合は解消されるだろうが(現在の科学では毛根だけではクローンは作れず、卵子を必要とするが、魔精霊で卵子の必要性をすっ飛ばしたとか)、それでもいくらエルナの髪だからといって、毛根なかったら彼女の遺伝子情報なんかは手に入らない訳で…。そこで髪自体から抽出出来たとなると、それは最早SFが介入しないファンタジーだと思う。そんなのを堤抄子がやるかなあ。
 …前段の「炎魔剣は何時封印されたか?」考察のようにどうにかして辻褄を合わせるとしたら、遺髪を取った人間が、ちょいと一本髪の毛を引っこ抜いたのかもしれない。エルナの時代は完全にファンタジーなのでクローンの知識とかはないでしょうが、それでも勇者エルナの加護を残すとか、そういう意味合いで。………ああ苦しい。

 そしてクローンと言う奴は、科学的に考察するなら、生まれながらの性質以外は似ない。つまり、性格も環境で変わるものだし、体格もある程度は変わってしまう。
 このエルナの場合、「魔法を持たない」と言う、体質上の性質のみが似ているのだろう。そしてそれこそを、バルドゥルは求めていたのだろう。

 …そうだよな。聖剣を振るえる人間がいないなら、聖剣奪取しても意味ないもんな。まさか自爆覚悟(つーか正に自爆する訳だが)で毎回誰かに聖剣を振るわせる訳もあるまいに…狂信者は進んで信念に殉ずるかもしれないが、聖剣一振りに対し信者の命ひとつでは、あまりにも効率が悪い。
 しかし…まさか、こう来たか。これが奪われた最重要聖遺物か。「数年前に奪われた最重要聖遺物」がエルナの遺髪なら、そこから計画が進行していたのか。聖剣の存在は信じていたが、どこにあるのかは判らなかった。が、エルナスヴィークの工事現場で聖剣が発見されてから、全てが実行に移された。聖剣奪取、エルナ姫の確保…その計画が。
 エルナのクローンを作ったのは、ウーロフ博士の研究の賜物なんだろうな…。あのマッドなおっさんなら嬉々として現代科学への挑戦をかましそうだよ。生命倫理?そんなもん考慮するなら狂戦士なんか開発せんだろ。
 つーかこっちも「エルナ」かよ!原作やこの感想で語られる、エルナ3人目だよ!話がややこしくなるから、バルドゥルもちょっと考えて名前つけとけ!

 何気に漢気を見せるニルソン中佐もポイント高いですな。お前戦車の隣に生身のまま立つなよ。そしてそのまま砲撃命令出すなよ。自分自身もえらい目に遭うぞ絶対。でしゃばりなんだから。
 とまあそんなお茶目を見せつつ。

 神降臨。

 何ですか今月のエルナ2は大盤振る舞いですか。1ヶ月で2,3か月分のネタを大放出してる気がします。

 神が光と共に力を現し、戦車隊をなぎ払う。しかし生身で立っていた中佐やヴァル、リョートには偶然か被害が及ばない。光はまた、TVリポーター達の眼前に現れ、「神の奇蹟」は世界中に示されたのだろう。
 信者は示された神の力を信じ、今まで狂戦士から受けた暴力も忘れたかのように、神を盲信する。が、エルナが直に会話した子供のみは「キレイだけど何だかコワイ」と感想を漏らす。
 ともあれ、神は僧と信者達を光と共に連れ去った。自分を信じる者には報いると言う事か。その逆に、信じない人間には死ねと、そういう論理か。紛れもないLIGHT-LAWだねとメガテン的な感想。
 あの光は魔法的な力なのか?それとも…?

 つーか今回の一斉捜査で聖修道会の本拠も支部も陥落した。だから、神は彼らを何処に連れて行くのか?バルドゥルが用意したセーフハウスでもあるんだろうか。
 或いは………空の向こう?宇宙まで飛んでしまう?
 どうだろう。宇宙まで飛躍したら、それは宗教じゃないような気がする。そこから信仰が醒めるきっかけになる信者もいるかもしれない…が、どうだろうね。アメリカとかじゃあ、大真面目に宇宙人を神みたいに崇める宗教めいたもんもあるんだし。宇宙=科学的なもので宗教的なものとは相容れない、って考え方は、日本人特有なのかもな。

 結局今回の騒動は、魔力と白き騎士が揃っているエルナ側圧倒有利だと踏んでいたのですが、終わってみたら聖修道会側にエルナ(=圧倒的な魔力)と聖剣(エルナクローンがいるから、最大限に活用できる兵器となる)が奪われると言う大きな失態に。
 やはりエルナとヴァルが一緒に行動していないと、そこが弱みになるのですか。今思えば、エルナはヴァルがいる時と同じようなイメージで、戦いに出向いたのかもしれないな。それは、自分の力に対する過剰評価とも言えるのかも…ちょっと傲慢だったかな。

 バルドゥルはヴァル(=呪文知識)を手に入れる事も諦めていなかった。が、それはニルソン中佐の介入が結果的に功を奏した。ヴァルと、聖鎧は奪われずに済んだ。ヴァルとリョートは元正統修道会の特務機関(現在は破門)の施設に帰還して体制を整える事となる。

 エルナとヴァルはセットでなければ、核雷撃弾は発動できない。だからエルナの価値は一旦保留となる。
 が、エルナクローンと聖剣がセットとなったため、「聖剣に対して強大な魔法を放って封魔法発動させて多大な被害を与える」と言う事が可能になる。…が、それって自爆テロだもんな。そんな事させたら、プリンセス☆エルナ死ぬぞ絶対。だから多分そんな使い方は出来ないと思う。

 エルナクローンはまだょぅι゛ょのため、剣を振るっての大立ち回りは(ヴァル以上に)不可能だろう。しかし彼女が剣を持って立っているだけで、傍に寄った人間が封魔法によってやられる可能性がある。その効果は永続的。ヴァルの場合は聖鎧で何とか封魔法を弱めていただけで、聖剣を持っているだけで命を削る。永続的ではなかった。
 だから…人間の盾にされるのか?でも、遠距離から狙撃されたら死ぬよな…そんな事するのは鬼畜の所業だが、剣を持った少女が甚大な被害を巻き起こすとなると、軍や警察も鬼畜の所業を取る他ないだろう。

 聖剣と聖鎧が揃ったら、永続的ではないが聖剣を振るえるようになる。ヴァルを見ていたら判るように、速攻で致命的なダメージが来る訳ではない。だから、テロリストの幹部なんかが聖鎧着て聖剣を振るうような事になったかもしれない。…絵にならないけど。

 …こう考えていくと、バルドゥルはヴァルの知識を未だ手に入れてないから、決定打はまだ打てない状況か。まだまだ完全勝利ではない。神の世を実現するための布石は完全に打てていない。だから、そのうちにまたヴァルを煽る事になるだろう。まあ、放っておいてもヴァルはエルナを取り返すためにバルドゥルに戦いを挑むだろうしね…。

 破門されたベリエル達特務機関(一行もろとも破門されたんだろうな…)ですが、案外教皇とは繋がり持ったままなんじゃないだろうか?
 だって聖修道会がここまで現世に対して敵対的な行動に出たんだから、正統修道会も名目が立つ訳だよ。正統修道会の信者も救ってやらなきゃならんだろう。だから破門した特務機関に水面下で活動させれば、「彼らが勝手にやってる事です」とも言い訳できるよなあ…。そこまでしたたかな教皇だと思うなあ…。

 とまあそんな感じ。
 今後はふたりのエルナの交流が始まるんだと思うよ。エルナクローンは「感情があまりない子」と評されているのだから、まだ人格が未発達なんだろう。バルドゥルも彼女に対して人格は必要としていないだろうしな。
 プリンセス☆エルナは彼女との問答でまた何かを掴んでいくのではないだろうかね。まるでアダとの会話で何かを知る人間達みたいだが。

第35話「人を裁くもの」

 また感想書くのが遅れてました。サイト引越しする気になったので、ちょっとどたばたしてます。
 で、タイトルがあっさり「奇蹟の証明」じゃなくなりました。こりゃマジで単行本収録と共に前回の<2>タイトルは別のタイトルに改題されるんじゃないでしょうか。

 さて今回の展開、エルナとリョートはバルドゥルと対決、ヴァルはソーロッドと算段中。

 …どうやらエルナス王にパソコン経由で魔法を教えたのはソーロッドじゃなかったようだ。
 つー事は前の感想で「ソーロッドが魔法を教えた=彼は魔法書を燃やしても良いと思った」てのは成立しないのか。と言う事はエルナス魔法書破損は、ソーロッドにとってかなりのイレギュラーな事態?
 「俺様自体が魔法そのものなのに魔法唱えるかバカ」だそうですな。つまり彼自身が雷撃の魔法って事だよな。でも他の魔法(治癒とか)は使えないだろうに…彼はソードワールドにおける精霊みたいなもんかねと、多分メジャーな世界観を持ち出してみる。SWの彼らは、自分のレベルで使える精霊魔法は、精神点(MP)なしで普通に何でも使える。それと同じく、ソーロッドも雷系の魔法(多分レベルMAXまでいける)なら何でも普通に使えるんじゃないかな。

 ソーロッド自身の設定はまあいいとして、ならばあのパソコンから魔法を教えた奴は一体誰かって事だ。電脳経由だから、ソーロッド系の「存在」だとは思うんだけど…あのパソコン、ネットワークに接続された状態だったから、ハッキング出来る奴なら普通の人間でも侵入の可能性はあるんだよな。
 王に対して「我が同胞」とか言ってたから、初代エルナの血筋?でもそれっていきなりだよなあ。
 炎系は正統修道会の魔法書に載ってる奴だから、呪文自体を知ってる奴は探せばいるはずだが…それこそ聖・正統の両修道会の魔法使いから、エルナスの騎士に至るまで。あの魔法をあの場所で教えたと言う事項のみで、誰かを特定する事はかなり困難だろう。
 ソーロッド並の「存在」とすると、わざわざパソコンから声が出て来る辺り、彼の分御霊である雷神ソウルとか?
 後は…可能性薄めだとは思うけど、「神々」にも分派が存在するとか?この地に再臨するのはいいが、原住民虐殺まではやる気はない、原住民とも共存して暮らしたい一派がエルナス王に協力してバルドゥルの企みを阻止した?
 うーん、いきなり沸いてきた謎だが、色々可能性が考えられる。解き明かすにはまだ情報が足りない。

 ヴァルを狙う学生が警察署内で大暴れ。警官の前で魔法使うわ神云々言い出すわ、完全に聖修道会信者として暴れてますな。もう隠すつもりないらしい。
 この学生はこの署に対して恨みを抱いていたようだ。ここで逮捕され、それが冤罪だった。警察も誰も信じてくれなくて、大学も停学にされた。それで人生を狂わされた。そこを突いたのが聖修道会だった。
 まあ可哀相な事態ではあると思うんだが、冤罪ならばそれを覆すために戦ってきた人達も人間の歴史上にたくさんいる訳なんだよな。警察や司法が判断した「罪」が全て冤罪ではないし、冤罪があるからと言って警察組織や司法機関を即潰せなんて乱暴な事を言う奴はおらんだろ。
 でも冤罪に巻き込まれた当人としては確かにたまったもんではない。人間社会に絶望してもおかしくない。そこを聖修道会に突かれ、「現在の社会を否定する」聖修道会の教義で心の隙間を埋めてしまった。
 何つーか、こうやって人はカルトに走るんだろうなと思わせる理由ではある。以前の映画業界志望の青年といい、現実じみている。

 「確かに人間は愚かだ、しばしば罪を犯す。正義ですら完全じゃない。でも人間は法を定め…その前で公正に…力を尽くし…自ら改めていくと決めたんだ!」

 聖修道会の教義は、所詮人間の判断を全て「神」に委ねてしまうだけなんだよな。しかし現在社会の状況は、このレンツの叫びに込められている。神とか英雄とか、そんな大きな力に頼る事無く、自分達の力で社会を動かしていく。

 どうやらレンツは死亡確認らしい。ああセルマねいさんといい漫才繰り広げてくれていたのに。前回、べるなんとセルマねいさんのコンビが成立しかけていたのは、こういう事なのか。合掌。
 レンツの死に激昂して警官全員で狂戦士化した青年を一斉射撃、根性見せる。これが「ガメラ2」見た成果なんでしょうかつっつー。

 …でもレンツ、これで本当に死んだのかなあ。折角ヴァルが魔法の実験の際に治癒魔法を警官の前で見せてくれてたんだから、誰かがそれを覚えているとか…そんな事ないかなあ。
 だってエルナがヴァルの呪文と掌相を一度見ただけで覚えてる位だぞ?あれだけたくさんの人が見てたら、覚えてる警官がいてもおかしくないんじゃあ?そして警官全員で治癒魔法をレンツにかけてやれば、彼も生還出来るかも知れない。それって、「魔法が世界に広まるきっかけ」になるよな?聖修道会が独占してきた治癒が、他の一般人にも使えるって示唆になるよな?話の流れとしても、かなり美しい伏線になると思うんだけど。

 一方、エルナとリョート。
 魔法の力比べではなく、水蒸気爆発と言う科学的変化によって、エルナ完敗。最強の魔法少女はこういう手段で破るべきだったか。
 以前「炎系は水系と相性が悪い」とヴァルが言ってたのはこう言う事が起こるからなのか?でも魔法が完全に発動してたら、火球が浮いてる状態じゃなかったわけで、だとしたら水蒸気爆発も起こらなかった?

 エルナをお姫様抱っこして確保するバルドゥル。そしてリョートはやはりへたれのまま殺されそうになる。根性だけはあるんだがなあ。
 が、そこに白騎士(と言う呼び名がいつの間にかに付いてたらしい)降臨。強面のボディガードを殺す…というか、丁度リョートに対して風斬首斧唱えた眼前に転送されてきたから、聖剣でその魔法が返っちゃって、ボディガードの首が飛ぶ羽目になったのか。これは事故かそうか。

 「もう我が友の誰一人として死なせない」と宣言。スヴァンの間接的な仇な訳だしな。
 そしてその足元には、狂戦士の腕。その狂戦士の型を考え、バルドゥルは「伝説の騎士様」の正体に気付く…?

 敵方と味方側(リョートもほぼ白騎士=ヴァルだと気付いていた)に正体がばれるってのも、ヒーローモノのパターンですな。と言う訳で以下次号…ではなく一ヶ月お休み。

 色々あり、伏線も張られたり張り返されたりした回でした。
 ソーロッドが転送魔法の位置を適当に変えたり出来る辺り、ヴァルの元にいながらにして正統修道会の特務機関の連中に指示を出せるって事だよな。流石精霊様。ヴァルの前で映像的にオンラインになりつつ、特務機関の奴の携帯にでも音声情報を飛ばしてるのかな。
 つー事は、別の場所にも何らかのアクセスを出来るって事だよな。ヴァルの前にいるから…と言う「アリバイ」は成立しないのか。精霊様には。思った以上に暗躍してそうな奴だ。

 学生テロリスト君だが、ヴァルを拉致しに来た訳じゃないのか?ヴァルの魔法の知識をバルドゥルは求めていたはずなのだが。「神の前に出るべき」って事だから、バルドゥルの前に拉致るつもりだった?にしてはお前暴れ過ぎだと思うんだが…。

 で、バルドゥルですが、まだ魔法使えたとは意外でした。警官隊とどんぱちやってた時に結構魔法使ったと思うんだけど。やはり「神々」からチャージして貰ったのだろうか。それとも、以前奪った「最重要聖遺物」も何か鍵を握るのか?

 そういやふと思い出したんですが、エルナ1が完結した際に漫画情報誌「ぱふ」で完結記念インタビュー受けてるんですよねつっつー。
 そこでボツ最終回構想として「神様が実際に降りてくる」と言うネタがあったりしたなあ。「あの三角のマーク(エルナ1のシンボルマークみたいな、3本の剣と魔獣が絡んでる奴)が宇宙船にNASAとか書いてあるような感じで底についている。地上の人は神様のシンボルだと思ってるけど、神様的には、先史人類的には、単なるマークなんですよ」と言うネタも。
 インタビューで語っちゃったからネタ使い回しはしないだろうけど、まあ思い出したから書いておく。つーか「神様が降りてくる」ってネタはエルナ1の時点から脳内にあった訳だよな。

第34話「勇者立つ」

 GF購入後2週間位ほかってましたすいません。
 実はまだ5巻も読めてなかったりします。行き付けの書店に月末出向いても店頭に並んでなかったのでその頃にe-honに注文してるんですが、どうやらGW挟んでしまって出荷が遅れてしまってるらしく、予定入荷日が今日5/9なんだよな。で、夜勤人間だとなかなか仕事してる日には書店に行く暇がないので…今度の日曜に引き取るんじゃないでしょうか。

 で、感想行きます。
 題名がやっつけ仕事みたいな事になってますが、これがかなり長い話になるなら今後も暫く奇跡の〜で続けていくのかな。
 単行本収録に当たって改題されました。ちなみに雑誌掲載時は「奇蹟の証明<2>」でした。

 シッポことエルナ達の竜は、どこぞの大学に密かにとっ捕まっていた。政府に報告する前に、密かに調査しておこうと、そう言う事だったんだろう。
 「他種と全く繋がらない…分類で言う"目"ごと出現した」と言う事らしい。つまり1巻感想で俺が呟いてた「竜とはこの世界のこの時代においてどう言った扱いなのか」と言うのが今更明らかに。
 あの刑事さん(後にレンツ刑事としてこの話に関わりまくる事になる)の感想はとってものーてんきな代物だった訳か。あんなにのーてんきな発言してたから、俺はてっきり「ドードーみたいなもんで、数世紀前には存在が証明されてて書物にもきっちり存在が残ってる生き物」だと思ってたよ。でも実際は「我々の世界で竜が発見された」ようなもんで、この世界においても「世紀の大発見」だったって訳か。
 「目」ごと出現したって事だから、今の生き物とは殆ど繋がりがないって事か。「管歯目ツチブタ科ツチブタさん」よりも仲間がいなくてひとりぼっちって事だな、とエルナのみの読者さんには判らないであろう感想を抱いてしまった(GF読者ないしは阿佐ヶ谷Zippy単行本派ならば判るんじゃないだろうか)。

 なんだけど、このシッポは遺伝子を調べた限りでは「元は人間ですね」と判ってしまう。大量の付加遺伝子が存在する…つまり狂戦士化とは遺伝子操作って事か。狂戦士の種とは遺伝子操作を行うウィルスなんかな。
 まあこのシッポが狂戦士化して竜になった人間であって、他の竜が全てそうとは限らないんだけどな。エルナ1の段階では「愛馬などが竜になる」と言われていて、実際竜ゴルムはシャールヴィの愛馬だったのだから。
 序盤で聖修道会の連中が乗りこなしていた竜は…やっぱり狂戦士化した人間なのかな。エルナ1段階では「魔境から竜を呼ぶ」となっていたのに、その魔境はエルナ1終了時点で消滅してるんだから。

 とまあ調査の途中だったシッポは、リョートの竜笛によってエルナ達の元に呼び戻される。そしてエルナとリョートはシッポに乗って、事件現場へと急行する。…オフィス街を飛んでいく竜ってシュールかつ怪獣映画の基本だよな。そりゃコーヒー吹く会社員も居るって。

 ロイヤルルームのベルナドートとセルマねいさん。
 「身分がはっきりしている私が顔出す訳には…」と言う理由で、べるなんは参戦見送りした模様。エルナはエルナスの姫だが正式にお披露目された訳ではない(あの舞踏会は途中で大惨事になってしまったので、お披露目までに至ってない可能性が高い)し、リョートは「姫を守るため」の隠密騎士だから詳細を照会するまでは判らんって事だろうか。少なくとも、グードランド警察に堂々と出入り出来た、参事官のベルナドートとは比較にならない。
 ベルナドートは一旦大使館に戻る。ロビー活動に精を出すのか。「聖修道会はついに我らの社会に牙をむいた…教会の周りだけで事件が収拾するとは思えない…」…と言う事は、もう取り繕う必要がなくなった聖修道会が、グードランドやエルナスでテロ活動に勤しむ可能性があると見ているのかな。

 「実際にみんなの役に立っているなら…多少怪しくてもいいじゃない?って気になるわねえ」
 セルマの感想だが、実際そういう感想を持つ一般人も多いんだろう。
 しかし、例えば治癒魔法が役に立っているのが現状なのだろうが、それは実はごく有り触れた技術であり、聖修道会の信者のみが使いこなせる「奇跡の御業」ではない。呪文と掌相を知る人間なら、普通に1,2回は使えるような「技術」に過ぎない。それを知らず、誤魔化されているのが、通常の信者なのだろう。
 それこそ、魔法が只の技術である事を証明されたら「おかげがなくなっちゃうじゃないですか」と言う事だ。魔法を持つと言う優位性を、聖修道会は手放したくなかった。…事を起こした現時点ではどうだか知らないが。

 「やっかいなのは、その辺のカルトと違って彼らの背後には、ほんとうに神が居る事です」
 「ねえ、本当に私達の方が正しいのかしら」
 「さあ…どうでしょうね」

 正しかろうがそうでなかろうが、「私達」が積み上げてきた社会を、「神」のために崩壊させる訳にはいかないから、そのためには「神」やその信徒と戦うしかないってのが現状だろうな。

 セルマねいさんはロイヤルルームにガラクタ(「ヴァルの裁判資料」としての下宿の荷物だが)を大量に持ち込む。その中にはいささか不利な代物もある………って言うか、マジでエロ本はあったんだな!クローゼット開けられようとした際に「いやそこにはないんだけど…」ってのは、嘘じゃなかったんだな!健全な大学院生の野郎だぜ!
 それはともかく、「遺跡からの発掘品」とおぼしき資料をセルマは見る。その鎧の内側には黒い染みが…古い血らしい。

 つまり、聖鎧の内側には、血痕がある。これは新事実。
 初代勇者は魔法力を筋力に変換される際、或いは聖鎧の能力では聖剣の魔法力との反応をカバーしきれて居なかったのか、ともかく「勇者として戦う」際に、傷付いていたのではないかと言う仮定が成り立つ。戦う度に命を削る。…ヒーローモノ一直線だね!
 となるとヴァルの命も心配になるのだが…現状、出血などの被害はなかった。とすると、いきなり来るのか。
 つーかこれ、ヴァルが調べてた資料なんだから、鎧の内側に血痕らしきモノがあるのは彼自身知ってるはずなんだよな。なのにこう言う仮定はしてないのかな彼。「勇者は単に敵から傷付けられたんだ」と、彼は仮定しているのかな。いや、その可能性もあるんだけど…そんな単純な伏線とは思えない訳で…。

 …鎧に血がついたまま、普通戦わないよな。仮に何らかの事情で外傷を負ったにせよ、その後で血を洗い落として修復して次の戦いに備えるよな。
 だとすると、この出血が勇者の致命傷だった可能性もある…?いや勇者は一応魔獣を封印した後にアーサトゥアルを興した事になってるから、人知れずくたばったって事はないんだよな…伝説上では。なら、この出血は、魔獣とは関係ない?アーサトゥアルを興してその後の戦乱で彼は死んだ?
 そこで死んだなら、彼の死後、鎧を修復せずに記念と言うかメモリアル的な意味合いでそのままにしておく可能性はあるし…いっそ彼は人知れず死んだのかもしれないし…。
 何だか嫌な想像かつまとまらないので、この辺で止めておく。本筋に関係するとも思えない。

 狂戦士は信者にも襲い掛かる。聖修道会と神を信じる人間達にも。
 そして踏み潰され、傷付けられる信者。
 そこにエルナがやってきて、治癒魔法を掛けてゆく。
 「治癒魔法は信仰の奇跡じゃない、だから私にも使えるの」「怪物も魔法も只の力なのよ」
 エルナが遂に聖修道会に相対する瞬間。

 「何もかも叶えてくれる神様なんて…きっと本当の神様じゃないわ」

 確かに神は実在するが、それは単なる力としての存在である。元はこの世界に住んでいた存在であり、人間の原初である可能性もある。断じて、信仰されるべき全能神などではない。

 神は助けは与えるかもしれないが、救いを与えない。結局は自分の力で道を切り開いていかなければならない。自力だろうが他力だろうが、信心だけで願いが叶う程世の中甘くないって事で…自分の足で立って歩けとも言うわな(全ての元ネタ判る人がいるんだろうかこれ)。

 エルナが衆人環視の元で、雷撃を狂戦士に炸裂させる。
 正に衆人環視。その模様は軍にモニターされ、マスコミに全土に中継されている。世界中のTVを見ている人々が、魔法を目の当たりにした。

 「世界に…魔法が示された瞬間だ…!」

 魔法の実在を知っているレンツ刑事は息を飲む。読者としてもここはもう力が入ったよ。

 軍には倒せなかった狂戦士を、エルナは魔法で倒していく。それを世界中が見ている。
 …この時点では、確かに世界に魔法が示された訳だが、まだ「魔法は単なる技術に過ぎない」とは示してない訳なんだよな。魔法と言う「奇跡の御業」を使う奴がまた一団増えただけ、そういう認識されてもおかしくない状況。
 そこをどうフォローするかと言う事だが…魔法を知るエルナスや正統修道会が魔法を「公開」するか?しかしそれは祖先のエルナとシャールヴィ、アースムンドの悲願を覆す行為に他ならないんだよな。だからそう簡単に取れる行動だとも思えないが…しかし魔法が単なる力に過ぎない事を示さなければ、これ収まらないだろうし…。

 ともあれ、現場ではエルナとリョートが、遂にバルドゥル枢機卿に邂逅。次号必見。
 バルドゥル余裕っぽいな…魔法結構使ってるはずだし、そう簡単に魔法って回復しないはずなんだが…奥にいる「神々」が鍵を握ったりするのかな。

 そういや警察署内でヴァルに会いに来た学生が、魔法使って襲撃に掛かってましたね。
 学生証などは本物なんだろうな…マジで学友なんだろうな。スヴァンみたいに序盤から登場して伏線張ってあったなら衝撃的だったんだろうけど、いきなり沸いてきたので「また聖修道会のテロリストが来たよ」程度にしか捉えてなかったりします。
 それに、ヴァルが今月1コマも居なかったので、既に正統修道会の転移魔法によってサルベージ済と言う可能性が高い。つまり、テロリスト学生君が警官の死体引きずってヴァルの独房にやってきても、そこはもぬけの空と。そういう状況が思い浮かぶ。
 だから、ヴァルの身の安全をあまり心配してなかったりする冷たい読者です。



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