「聖戦記 エルナサーガ2」感想/第5巻分
04年9月号〜04年12月号、05年2月号〜3月号掲載。基本的に雑誌掲載時の感想。

4757514204聖戦記エルナサーガ2 5巻 (5)
堤 抄子

スクウェア・エニックス 2005-04-27
売り上げランキング : 7,155

Amazonで詳しく見る
by G-Tools
単行本収録時のエラッタ
  • 書き下ろしはカラーページのみ。やはり忙しいらしい。
  • 中表紙でベルナドートのカラーが判明。髪の色が砂色じゃねーか!髪型と言い、まんまミュラーかよ!と銀英ハマリ中の人間の勘違い。貴族の正装は、そんなにイカレた色指定じゃないようですな。ロイヤルカラーのピンクは王族しか纏えませんか。
  • 目次カラーはソーロッド人間型&ピカチュウ型。
  • CGカラーが上手くなった…というか、色合いが濃くなってきた?個人的には好みの色合いになってきたなー。


第33話「奇蹟の証明」

 前回の話を膨らませてゆく、普通に続きの展開。完全に予測不可能だったような、目新しい点はない。
 しかし盛り上がりは続く。次号が休載の回なのが辛い。

 第33話を一言で表現するなら「遂に魔法が現代の世界に正式に姿を現した」と言う事になる。聖修道会が軍と警察相手に魔法を使って攻撃し、ヴァルは警察で魔法について実験と共に持論を語り出す。
 どちらも、大きなパラダイムシフト。さてこれを受けての「現実の世界」の反応はどうなる?
 …という風に興味を惹くような展開なのに、次回休載なのが(ry

 まず聖修道会への強制捜査→武力衝突から。
 思うんだが、聖修道会の幹部って、どこまでバルドゥルの考えを知ってるんだろう。眼鏡のおっさんとかさ。もしかして「魔法を使って治癒してくれる素晴らしい方だ」位の理解しか持ってない幹部もいるんじゃないのか?
 魔法で攻撃を図っているのは果たしてバルドゥルだけなのか、それとも他の幹部も一斉にやっているのか。でも水魔法ばっかりなんだよな…繰り出されてるの。だとしたら、バルドゥルがブチキレてるだけなんじゃないかとも考えられるんだよな。
 しかしバルドゥルは「このたびは戦いの端緒を開く事もないかもと思いましたのに…」とか言ってるんですよね。前回の引きを見る限りでは、完全に殺る気満々かと思ってましたよ。
 壁を壊されたり書類を押収されたりしても穏やかだったのに、治療棟への侵入を許した段階でブチキレですよ。これだけ見てると「怪我人を踏み躙った国家権力に怒りを覚えたのだ」と、信者や幹部は思うかもな。バルドゥルの真の目的である「神の降臨」を良く判ってない人間なら。

 で、キレたバルドゥルは水魔法連発。しかしエルナみたいに魔法が無尽蔵にある訳じゃないだろうから、そのうちに弾切れになるだろう。どうすんだ?
 …とか思ってたら、狂戦士発動で上手い具合に誤魔化しましたか。

 一方。ヴァルサイド。
 驚愕の事実。セルマねいさんは弁護士だった!
 …本棚を独りで担いでみたり、ヴァルを「練習台」としてギタンギタンにするとか、一体何だったんだ?てっきりスポーツ系か警察関係の人かと思ってたのに。
 「普通涙を流して喜ぶわよ!?」と言ってるし、実際にこんな訳の判らん事件を誰が弁護人引き受けるんだかと思われるが…ヴァルはげんなりしていると。
 エルナの養父母やスヴァン殺害容疑に関してはヴァルは無実だし、聖修道会のテロリストを何人かやっちまってる事実は全て正当防衛や緊急避難で立証できる。
 但し、魔法を証明できれば。

 前回段階から、ヴァルは魔法を証明するつもりはなかった。自分が無実である事を証明するためには、事の真実を全て話さなければならなくなる。そうすれば「エルナ姫を連れての逃避行だった」と言う旅の概要も話さなければならない。
 しかし、エルナは魔法を隠す事を止める事にしたらしい。そして自分達が魔法を隠した所で、聖修道会の暗躍がなくなる訳でもない。魔法を守る事と釣り合わない事態が来るかもしれない。
 そう覚悟を決めたヴァルは、聴取の際に魔法の実験を行う事とする。

 …つーかさ、ヴァルはあくまでも一般人なんだから、魔法の量がそんなにない訳だよな。「1」の時から「魔法の回復」のシステムがあんまり判ってないけど(シャールヴィは「寝れば回復する」みたいな事を言っていたから、一晩ぐっすり眠ればMP最大まで回復するって事か?まんまRPGだな)、彼は治癒魔法2発程度で魔法尽きてしまうんだよな。警察側に一回に何度も立証させられそうになっても、途中で魔法切れ起こしそうだなあと思う。彼としては、今回の風針と治癒の1セットだけでも冷や冷やだったかもしれないな。
 彼が体を張って立証しようとしたけど、結局は胡散臭い目で見られて終わってしまったようだ。

 ヴァルの仮説段階だけど、魔法のシステムとして「呪文に反応する微細なシステムが、世界のあちらこちらに存在する」と言う位置付けがここに展開。
 「そんなものを誰が蒔いたと言うのか?」と言う問いにはやはり「神?」と答えるしかないだろう。だって世界中に組み込まれてしまっているんだから。以前の聖修道会のテロリストじゃないが、「ほんとうなんだよ」と言う状況なんだから。
 只、そのシステムを知る人間がごく限られている状況だから、胡散臭く思われているだけで。

 ヴァル達にとってみたら「神」と言うしかない存在によってそのシステムが構築された事になるんだろうけど…本当にその「システム」を構築したのは誰なんだろうかね。
 やはり「天空に去った神々」?だからバルドゥルに天啓として「魔法」と言う「システム」を教える事が出来たのか?

 とかやってたら、聖修道会と軍が戦闘状態に入ったと言うニュースが入る。
 これで、聖修道会は「魔法」を包み隠すつもりがなくなったと判る。「おかげがなくなっちゃうじゃないですか…」などと言っていたのはあくまでも過去となってしまう。
 だからもう、エルナ側も遠慮する必要はなくなるのかな…。

 で、エルナサイド。
 父王はひとまず一命は取り留めた。そして「魔道書は失われる事で守られたのです」と、エルナス王家の役目は終わりを告げた事を、母親は告げる。エルナを縛るモノはもうなくなったという事か。
 つまり、ガンガン雷撃落としまくってオッケイと(それもどうかと)。
 そしてここにも聖修道会と軍との戦闘状態の報がニュースとして入ってくる訳だ。

 「教団側が奇蹟の力を標榜するなら」
 「奇蹟の力でそれを倒さないと…」

 ヴァルとエルナの気持ちが通じ合っているシーンですな。
 今回の話は三者のザッピングで進んでいく構成になっているのですが、エルナ1の1話から堤抄子はこんな構成が上手いなあと思います。

 信者は聖修道会のみが魔法の力を持っていると信じている、だから魔法=奇蹟の力なのだと思うだろう。
 だからこそ、同じ力で聖修道会をぶちのめす。魔法は奇蹟なんかじゃない、この世界に有り触れているシステムなのだと。信者の目を覚まさせるためには、それしかない。

 ヴァルは「だって彼女はきっとこう言う」と思った時には、エルナは「行こう」と表明。
 領事館占拠事件とは真逆の構図ですね。領事館の時はヴァルが行こうと決めたから。これに意味はあるのかな。
 しかし…「魔法の力でぱぱっと行っちまえばいいんじゃないのかい?」の混ぜっ返しに「あ、そうか」と気付くヴァル。
 そうか、転移魔法か!何せ警察の留置所なんだから、緯度経度はばっちり判ってしまう訳だ。こっそり行ってこっそり戻ってくるなんて芸当も可能なのか!盲点だった。脱獄し放題だったんだよな、今までも…。
 転移魔法を使うとなれば、ベリエル達を巻き込む事は必至。ま、聖修道会がこんなに派手にやっちまったんだから、彼ら特務機関が動く口実は充分だとは思うよ。

 そんな感じで次回以降には聖修道会と軍のどんぱちの中に全員集合、てな事になるんだろうなと思う。今後の展開予想する上で、引っかかってる点を以下に。

 今月号読んで、先月号読み返すと、べるなん(愛称)が微妙に気になる。
 前回段階では「姫はもう手をお引きになってもいいと思うんですよ」とか言ってたくせに、今回のエルナの「行かなきゃ」には「やはり戦いにゆかれますか」と余裕かましてるんだよな。止める気ナッシング。
 いくら「エルナス王室に存在意義はなくなりました」とエルナ母が言ったとは言え、それは魔道書を守ってきた王室としての立場が消失したと言うだけであって、政治上としては王室は存続すべき存在だろう。その王室を継ぐたったひとりの姫を、色々な裏事情を知ってる貴族が、あんな戦線に送り込むか?そら自分達で守り抜く気概はあるんだろうけど、万一があったらどうすんだ?
 …てな事を考えると、何だか彼の笑顔の裏には何かあるような気がしてきてならない。腹黒化か何らかのリアリストか。ま、前々から提唱している「エストベリ人外説」みたいに、当たるとは限らない予想なので気にしないで下さい。
 何にせよ、先月号段階では「おいおいリョートとキャラ被るよどうすんだ」と危惧していましたが、リョートみたいに姫様命一本道ではなさそうなキャラですね。

 エルナがあの場に降臨したら、魔法の量はたくさんある訳で、多分聖修道会の誰も敵わないと思う。まして聖鎧の騎士まで降臨した日にはねえ。狂戦士すら負けるだろう。
 でも、その後は?
 エルナはこの前ニルソン中佐に「兵器」呼ばわりされて(彼自身はエルナを兵器だと認識していた訳ではないが)ショックを受けていたはず。そこに来て、聖修道会を抑えるためとは言え「兵器」に他ならない事をする訳だ。その「兵器」に対して軍は、警察は、世界は、そしてエルナ自身は、どう対処する?

 そのニルソンだが、聖修道会やエルナが魔法を使うとなると、グードランドのみにその魔法がない事を危惧するかもしれん。そこに「ヴァルがアーサトゥアル市警で魔法の証言をした」と知れば、ヴァルの確保に動くかもしれない。
 でもレンツ刑事が頑張るか?いやヴァルの無実を証明するためとなれば、すすんで協力するかもしれないか?

 そんな感じかなあ。
 さてと、今度こそゼロサム買って通販しなきゃならんなあ。

第32話「罪のありか」

 さて、1ヶ月の休暇も終わって再開。
 しかし前月GF感想でも触れましたが、どうやら「2ヶ月載って1ヶ月休む」と言うペースで36P掲載を続けていくらしいです。
 アダが終わるまでそんな感じみたいですが…ゼロサム久々に立ち読みしてみたらどーやらクライマックスみたいですな。アダは5巻で終わるかな、みたいな感触。とはいえアダはコミックス出るまでが長いからなー後1年弱はかかりそうだ。
 ちなみにゼロサム手に取ったのは「コゼロサム通販するかなー」と思ったからだったりする。ええ、つっつーの数Pのためだけに1000円+送料出すつもりでしたよ。でもぺらぺら読んでみたら何だか微妙な雑誌だったので置いて帰ってしまった。続けて買ったらGFみたいにツボにはまる雑誌だったりするのかなーとは思ったりもするけど、一読した限りでは俺には合わないようだ。まあ今度また買いに行こう…コゼロサム欲しいし。

 それは置いておいて。感想行きます。題名が意味深だなあ。展開も凄い事になってきた…。36Pで行く事になっただけの事はあるな。気合入ってんなー。

 エルナスの魔術書が遂にバルドゥルの元へ。
 しかし、魔術書破損。魔法を知らぬはずのエルナス王がすんでのところで放った魔法のせいだった。

 これにより「核熱雷弾」の魔法は失われた。他にも、エルナス側に載ってる「雷、氷結、地脈、爆発、転移魔法」も消えた。つまり雷撃もなくなったし、転移魔法も聖修道会が使う可能性は消えた。爆発系も消えたって事は、ヴァーリ御用達・悪人系魔法のボルトーガ(漢字どんなんだっけ)もなくなったのか。
 正統修道会側の魔術書でエルナス騎士や聖修道会にも流出しているのは「治癒系、防御系、風・水・火炎・使い魔法」…本当に基本的な魔法のみだな。これだけでも戦闘は可能か。

 魔法の半分が失われた事で、ますますヴァルの価値が上昇。バルドゥルはおそらく当初はエルナの副産物としてしか見てなかったんだろうが、これでむしろエルナよりも価値上がってないか?
 核魔法が欲しい聖修道会は絶対に欲しがる人材だし、正統修道会やエルナスも彼を守る必要が出てきた。何せ正統修道会もエルナスも、ヴァルが魔法を解読してしまっている事は知っているのだから。歩く魔術書と言う訳で。
 そういう意味では、彼がグードランドの警察に拘留された身ってのはかなり重いよな。全ての陣営の影響下にない国の警察。これがエルナス警察なら、こっそり王の干渉も可能なんだろうけどさー。

 で、ブチキレたバルドゥルは狂戦士をブチ殺す。これが水箭の詠唱か。
 その後降臨した「神」との対話。「コロしていいんですね?」と、開き直ったかのような表情。この「啓示」が、ラストに繋がるんだろうなあ。
 前後しますが、彼がエルナと核魔法を求めた理由…なのかな。ともかく語られる。どうやら騒乱目的以外の何物でもなかったようだ。それが「神への供物」になるようで。「もう終末は始まっています」だそうで…。神は今後、世界のあちこちに降臨するようだ。

 一方。ヴァル逮捕。
エルナも参考人として取調べ。どうやら警察に関わっても「エルナスの姫」とは割れてないようだ。まあ只の参考人だし、むしろ被害者だしなあ…そこまで調べないか。しかし、流石に「ストックホルム症候群」とは表現出来ないんだな。
 スヴァン殺害もヴァルの犯行にされてしまったかそうか。あの煙草か…盲点だった。
 ところで「ヴァル容疑者」とか「エルナさん」とか、取調べなのに名前で呼ぶのはどう言う文化なんだとちょっと思った。被害者取調べは親しみを持ってもらう目的もあるとは言え、容疑者は流石に苗字で呼ぶべきなんじゃないのか。

 ヴァルは色々な部分で黙秘中。どうやらエルナの正体や魔法の事や魔法書の存在なんかをぶちまけるつもりはないらしい。
 しかし刑事さんは「真相を話して欲しい」とエルナにもヴァルにも告げる。「一個人が戦うなんて!市民の事は警察が守るべきじゃないのか?政府が何とかすべきじゃないのか?」と。…ふむ、エルナ2のコンセプトのような事を言う。

 ひとまず取調べを終えたエルナはベルナドートと合流する。何故かリョートとセルマねいさんも一緒。関係者一同って事か。
 「正式に名乗らず失礼しました。地味な公務員を目指してますんで」と言うべるなん(愛称決定)の格好は、貴族の正装ですかね。仕える王女に謁見するのだから、正装してきたのかな。しかしリョートのように「どこがだよ」と突っ込みを入れたくなるなこりゃ。
 んで、「これからは私が姫をお守り致します…」となってしまい、リョートへたれ化決定ですか、と。キャラ被るわ、べるなんの方が優秀そうだし色々な場数踏んでそうだしな。戦闘はともかく折衝なんかはね。

 エルナスにあるベルナドート宅ではなくグードランドのアーサトゥアル市内にホテルを取り、そこでひとまず落ち着く事になるようだ。とりあえずベルナドートから現状報告。王宮での騒動がエルナにも伝わる。
 王が魔法を使ったのは、パソコンに何者かが侵入し王に呪文を教えたから。おそらくソーロッドだろう。
 ならばソーロッドは魔道書を燃やしてででも、聖修道会に核魔法を渡すつもりはなかったと言う事になる。彼にとって「魔法の復活」はどうでもいい事なのか。それともヴァルに全ての魔法を教えたから、魔道書が消えてもいいって事か。全てはヴァルの記憶に頼るのか…。

 そしてグードランドの政争。
 どうやら聖修道会が買収紛いで献金を与党側にばら撒いていたらしい。そして領事館事件での戦闘記録。それが野党側に流れ、議会は紛糾。全てが聖修道会に結びつき、聖修道会の強制捜査へと踏み切る。
 それらのきっかけを作るデータを野党に流したのが、ニルソン中佐。…「ユルソン」ってなってるんだが、誤植か?ともかく彼の目的は何なのやら。そこまで聖修道会が怪しいと睨んだのか…根拠は何だと思わんでもない。

 「神から見たら人間など滅ぶべきかも知れんが、我々の積み上げてきた社会だってそんなに愚かじゃないってことですよ」とベルナドートは言う。そんな、「我々の積み上げてきた社会」の暴力装置である警察と軍が、聖修道会の強制捜査に踏み切る。
 一方、グードランドの教会に居るバルドゥルは、強制捜査を前にしても一向に引かない。「何の武器も見当たらない、何の証拠もないのに彼らには災いが降りかかります。古代の魔法戦争のようにね…」と、明らかにやる(殺る)気満々。
 次号以降、現代の暴力装置と古代の暴力装置がガチ勝負する(厳密に言うと現代側は「古代にそんな暴力装置があるとは知らない」のだから、不意打ち気味かもなーでも「武器での反撃」は睨んでるから攻撃自体への対処はしてるよな)訳だが、果たして勝負はどうなるのか。

 そこで、以前GF映画コーナーでつっつーが取り上げた「ガメラ2」ですよ、てな事なんだろーか。「エルナ2への参考に見た」って事だし…映画見てないんだが、どうやら自衛隊も火器である程度のレギオンはどうにかしてみせたそうだから、このエルナ2でもグードランド警察&軍は完全敗北する事はあり得ないと思いたい。
 但し、前回の戦闘機対エルナでエルナが完全勝利を収めてしまったのを考えるとな…。エルナは「逃げる気満々」かつエルナの無尽蔵の魔法があってこその勝利だとは思うが、「人間の思考は世界で一番速い」と言う話を聞く限りではな。警察と軍は善戦するもやはり噛ませ犬だと思う。で、一旦引く事を考えたエルナが「やっぱり世界を救うためには私の力を使わなきゃ」てな展開になるんじゃないかと…王道だが。

 グードランドはいいとして、リョートは「わがエルナスに聖修道会の教会は多い」と危惧する。ヤケになった聖修道会が一斉蜂起した日にゃえらいこった。
 聖修道会の本拠は修道会領と言う事で、蜂起したら正統修道会とガチと言う事にもなりかねない。グードランドは自分の国内だけを考えておけばいいんだろうが…。
 警察に全てを話したらヴァルは放免か、それとも「魔法」を良く知る人間としてそのままグードランド警察か軍にでも参考人として召集か?

 そんな訳で以下次号。ああ続きが気になる…。

第31話「再会」

 何はさておき、本誌購読派に大激震が走った本誌後書きでのつっつー発表から。…いや、単行本出版のペースが落ちるかもしれないから、単行本派にも大問題かもしれない。

 「今後、1話辺り増ページして、ちょくちょく休載する事になりました。ひとまず来月は休載です」

 ………えええええええええええええええええ!?
 俺、エルナ2のためにGF定期購読申し込んでるんだよ!?まあGFは割と自分の趣味に合ってるらしくて、他にもサルガとかカミヨミとか楽しみにしている漫画が結構あるので、休載しても普通に買って読むとは思いますが…。
 やはりゼロサムとの掛け持ちは辛かったんですかね。アダの方は一回辺りの枚数が結構少な目だと思ってるんですが(単行本で読むとそんな印象)、それでも辛かったか。
 堤抄子は柴田亜美並にスケジュール管理が上手い作家なので、本当に休載しなかったもんなあ。だから安心して本誌購読していたんだけど…スケジュール管理の末の休載なら仕方ないか。3ヶ月載せて1ヶ月休載するってペースならまあ許せるかな。それ以上頻繁に休まれるとちょっと辛いかも。

 そんな訳で「来月載らないんだから今月感想も急がずにいいさ」と思ったので、今更エルナ2感想更新です。もうじき1月号発売か…中途半端にのんびりしてたな。

 最強の姉、降臨…!!
 煽り文句通りです。おそらく本誌読んでるだけで単行本買ってない読者には存在忘れられてたであろうヴァルのねーちゃんです。
 しかしながら、インパクト満載。正に「最強の姉」。今月号読んだ読者には忘れられないキャラになったんじゃなかろうか。この手の暴虐無人なまでに性格も腕っ節も強い女性キャラって、堤抄子では珍しいのかなあ。
 つーかすっかり刑事さんまでパシリにしてしまってるなあ。ヴァルが特別弱い訳じゃなさそうだ。

 領事館占拠事件、終結との大本営発表。報道では「エルナスのベルナドート参事官が機転と勇気を持って犯人の説得にあたった」「残念ながら領事が犠牲に」という事らしい。
 領事は、最初の方で犯人に魔法で吹っ飛ばされてたよな?あれで死んでしまってたんだな。
 で、「犯人の説得にあたった」事になってるベルナドートだけど、明らかに信者斬り殺してたよな…警察が現場に入ったら死体が転がってて誤魔化しようがないと思うんだけど。人質にも目撃されてたんじゃなかったっけ?
 既に報道管制敷いてるのかな。エルナスじゃなくて、グードランド管轄なのに。ニルソン中佐が色々介入するにしても、警察と軍とでは連携が取り辛いだろうし縄張り争いもあるだろうに。…捜査本部に同居していた所を見ると、もう軍の発言力が大きい状態になってたのかな。

 エルナ一行は空軍の追撃を振り切る。
 魔法の選択はどうやら前回俺が予想した通りだったようだ。クレトゥスでレーダーから身を隠し、冷却系の魔法で赤外線探知を振り切る。
 そして更に攻撃は炎箭。音速の戦闘機についていく火球…「この世で最も速いのは思考だと言う話だからな」とはヴァルの弁。だから音速だろうが光速だろうが追尾出来ない訳がないって事か。
 「何処の国の兵器だ!?」と、遂にグードランド軍に「魔法」の力が認識される。

 地上に降り立ち、ヴァルとリョートはエルナへの思いを語り合う。リョートは姫を諦め、尚且つヴァル以外の奴と姫がくっつく事は厭だと意思表示する。
 領事館内では「お役立ち度」を争ってたくせに、姫争奪戦はやる気ないのか。と言うか姫の思いはヴァルに向いているのに気付いてしまったから、根っからの騎士であるリョートは「姫のお気持ちのままに」と言う事で自分の思いを強要しない事にしたのか。
 …自分の中で姫への思いがくすぶっているのか、そうでないのか。そこは重要だと思うけどね。くすぶってるんなら、はっきり言ってスヴァンを死亡させた時と同じ心境のままなんだよな。同じ事を繰り返しかねない。だから…もうくすぶってなくて、姫への思いは全て忠誠心へを昇華させてしまっている…と、思いたいや。スヴァンを死なせた後に、姫への思慕を「くだらない思い」としてどうにかしようとしてたんだしさ。

 先月号、散々逃亡の描写をされていた最後の犯人信者がエルナ達に追いつく。が、その背後からヴァルのねーちゃん、セルマ・アルヴェーン嬢がボコる!不意打ちとは言え戦闘員系であろう信者を、一撃で撃沈!強!!
 そして彼女の姿を認めるや否や、速攻で逃亡を図るヴァル!しかしあっさり捕獲されて十字固めへ持ち込まれる!
 …リョートじゃないが正に「奴の性格形成の謎が解けた気がするな…」ですな。こんなに強いねーちゃんが居たなら(そしてしょっちゅうボコられてたなら)、そりゃあ弱気にもなるだろうよ…。ねーちゃん初登場時の感想にも書いてるけど、そりゃあヴァルもへたれるさ…。
 結局彼女が一体どんな職業の人間なのかまだ判ってないのですが、どうなんでしょうな。

 刑事さんも味方になってくれて今後匿ってくれる様子…になった所で、ニルソン中佐率いるグードランド軍地上部隊に追い付かれていた。
 「謎の攻撃、謎の防衛システム。わが国の安全保障上見過ごす事は出来ん。恐ろしい兵器を所持もしくはどこかに設置しているはずだ。出してもらおう」…職務に忠実な中佐だな。
 しかしこれでエルナは自分が「兵器」である認識を持ってしまった。魔法と言う恐ろしい力は兵器になり得ると気付いてしまった。現実、ついさっき空軍を魔法の力で手玉に取ったばかりなのだ。
 「エルナの持つ能力が兵器である」と言う認識は、前作でもそうだったよな。存在としては真逆だけれども。前作エルナは国元からは人間扱いされない、兵器としての存在を許されていた訳で。
 彼女の力が「魔法」であると知った所で、それは兵器転用出来る力である事は変わりない訳だ。そしてそれを知ったら、エルナスには「魔法」を使う騎士が居るという事実にも触れてしまうだろうし…グードランドが持っていない魔法の力をね。それこそ安全保障のバランスが崩れかねないか。

 そういやグードランドは魔法を完全に捨てたんですね。魔法書はエルナスと正統修道会の間で分割されてるのだから。あのやり手の女王が簡単に魔法を捨てるとは思えないのだが…何かあったんかなあ。
 グードランドには王族制度が残ってないようだけど、女王の血族も残ってないのかな。「魔法の量は王族なら高くなる」と言う前作の法則(今のエルナス王家の法則)に拠るなら、仮に血族が居たなら、彼らに魔法書が渡ればかなりの魔法が使える事になると思うんだがな。
 そうなったらまた新たな勢力が台頭してくる事になるんだが…これ以上増やしてもややこしくなるだけか。

 テロリストとしてエルナ達を確保しようとする軍。しかし刑事さんがヴァルを確保し、叫ぶ。
 「誘拐及び連続殺人犯ヴァル=アルヴェーンは、まずはアーサトゥアル市警が逮捕し送検する!」

 さあ、マジで軍と警察の管轄争いですか?

 しかしここで警察手帳を出して名乗った事により、エルナ一行を秘密裏に保護する訳にはいかなくなったのではないか。正当な手続きで彼らを逮捕して拘禁するしかないんじゃないのか。
 もっとも、そうする事によってエルナ一行のある程度の保護は出来るだろうけど…仮にも法治国家なのだから。しかし犯罪者として逮捕してしまったら、そういう扱いもしなきゃならんしなあ。うーん、どうなるんだろう。

 気になる展開ですが、前述の理由により一ヶ月お休み。生殺しだ。

第30話「戦う理由」

 …と思ったら、終わってなかったよ。
 何と言うかこの数号、ツボを突かれる展開ばかりです。燃え展開続き過ぎ。クライマックス真っ只中てな印象。新キャラが増えてきたのでまさかいきなり終わる事は考え辛いですが…連載が残り1年切ったかな、と言う印象はある。

 エルナと聖修道会信者、初めての論戦。ここまで命を賭けて戦っておきながら、ようやく相手の言い分を訊く事が出来た。

「神様が!人を殺せと言うの?」
「そうだ!」

 「神」を信望する聖修道会の信者にとって、この世界は「神」の所有物。今はびこっている人間は「神」が去った後に地上を乗っ取っているだけであって、今後神が再臨する以上人間の手から世界を返還させなければならない。だからこの世――人間の世はいずれ滅びる。聖修道会が率先して滅ぼす。
 ここまでは、我々の世界に存在する「末法思想を含んだ宗教」にも含まれる戒律だろう。しかし「エルナサーガ」世界観では「神の実在」は証明されている。聖修道会の人間はそれを知っていて信じているし、読者もエルナ1からの伏線として「かつてこの世界には神が居た」と言うのを知っている。だから、神の存在は「ほんとうなんだ。真実なんだよ」と…。
 神を信じないリョートには「狂信だ」としか思えない。しかしエルナは動揺する。ヴァルも以前ソーロッドに敵の事を教えられている…。

 エルナ達には更に、空軍のスクランブルによって追撃が掛けられる。
 自分達が護った人間が放つ追っ手。「だって俺達もとから隠密ボランティアだから」と言うヴァルの台詞は言い得て妙だよな。正に変身ヒーローモノ。
 とは言え空軍に捕まる訳にはいかないようで(グードランドの助けを得ようとするのもいいんじゃないかと思うんだが、やはりエルナの身分がばれるのはまずいのかな。正統修道会との絡みもあるし)、彼らはとんずらしようとする。しかしエルナは混乱したままで、魔法を使おうとしない。
「世界のためなんてわからない」
「世界はもう置いとけーー!」
 ヴァルブチキレ。正直笑える。しかし。

「そんな事、実際考えてられっか!たいそうな勇者サマじゃない!目の前の大切なことのために戦う、だから確信が持てる。世界なんてその集積だ」

 …ここで燃えた訳ですよ俺は。やはりヴァルが主人公なんだなあ。

 8話感想でも書きましたが、エルナと養父母のやり取りで「世界が何で出来ているのか判ったの」「ならば同じように世界を愛しなさい。勇者エルナ」てのがありましたが、これが一体何を意味しているのか判らなかったんですよね。それがここで集約されてきた。
 あの時点で感想に書いていた事で良かったのか。養父母との安らかな生活を愛し、護ろうとする気概。その日常は地上に在る家族の分だけ存在する。それら全ての「安らかな生活」を護ろうとする事で、平穏な世界は護られる。正に「目の前の大切な事のために戦う」と言う理由ですよ。

 その「安らかな生活を護る」ためには、「世界の誰かを犠牲にしてしまう」事にもなるんだろうなとは思うけどな。エルナは以前「世界を護るために誰かを犠牲にしちゃ駄目だ」と言っていたけどそれはやはり甘い考えだったか。
 降りかかってくる火の粉は払わなくてはならんでしょうし。今回の問答で、聖修道会は現在の世の中と決して相容れないカルトであると判ってしまったんだしな。
 今までエルナは大上段に「世界を救おう」としていた。しかしそういう事ではない。もっと卑近な事から始めればいい。
 近くに居るヴァルやリョートを死なせたくない。スヴァンのように死なせたくはない。暴走特急のような事を繰り返したくはない。…それを積み重ねて「世界を救う」事になればいいんでないかね。
 今回でようやくその辺の胸のつかえが取れたかな。でもって魔法どっかん娘へ確変してしまうのかな。

 「たいそうな勇者様じゃない!」と言う台詞もまた、エルナ2の根幹なんでしょうな。前回の「この時代には英雄はいない…」と言うソーロッドの台詞とも呼応する。あくまでもこの3人は隠密ボランティアであって、表には出てこない存在となるのだろうな。
 となると、今後事件現場でエルナが姫として名乗りを上げる事も出来ないのかな。あくまでも彼ら3人(と正統修道会のベリエル一派)で何でも何とかしなきゃならないと。

 で、さらっと流してしまいますが、ヴァルが遂に告白しましたな。
 …いや、本当にさらっと流せてしまうんですよ。だって殆ど両思いだったから、正直「何を今更」と言う気分でして。更には、舞踏会の際に「あの人が――ヴァルは私の傍に居てくれる…」とエルナはよりにもよってリョートの前で言ってしまっているから、リョートも既に失恋済みだしさ。
 しかし「君が好きなんだ」と言う台詞に対して、何故「さいてーーーーーー!」という応対をかましますかエルナ。ヴァルはぼーぜん、丁度そこにミサイル飛んできてどっかーんだし。殆どギャグでんがな。
 何と言うか、まともな告白シーンを書くと照れ臭かったりするんですかねこの作家さん。

 あーそういやエルナは「ムードなさすぎ!」と御立腹なんですね。で、ヴァルはへこみっぱなし。
 ヴァルはどういう意味でへこんでるんだろうな。もしかしたら「ふられた…」とか思ってるのかな。だとしたらこの告白にはまた違った意味が出てきそうだ…エルナは両思いになったつもりなのに対し、ヴァルはふられてしまったと思い込んでいるとか。

 こんな感じで今月号分終了。

 以下、触れなかった部分色々。
 あれは、神が実際に降臨している光景…なのか?「また一柱…」みたいな感じで光が降りてきているようですが。聖修道会の本部の中庭みたいな所か?そこに着陸ポート作ってみてるのか?でも小さいよなあこの光の柱。「神」のサイズが人間とは異なるとは思えないのだが…。
 「柱」は基本的に神を数える単位ではあるけれど、ならばあの光の柱自体が神?それとも映像投影機としての光の柱だったりするのか?判らん。何にせよ、あそこで降臨している物体が「神」とは思えないってのが第一印象。個人的には神のイメージではない。

 今後の展開。まずは空軍を振り切りに掛かるか。
 レーダーはクレトゥスで防げる…のかな?それを試みようと、ラストでエルナはクレトゥスを張ろうとしている。ミサイルは赤外線を探知するから、冷却系魔法を使って防ぐ事にする。冷却系って何かあったっけ。エルナ1の旧版1巻ラストでヴァーリが使ってたアレかなあ(魔法名失念)。
 エルナの拉致には失敗したけど、エルナス魔道書は奪取成功してるんだよな聖修道会。互いに重要なモノを手にしている格好になる。そこで何らかの取引が行われる事になるのかな…と丁度「スパイラル」思い出すなあ。あれ、その辺のアニメ見て興味持った漫画だから。
 そして王様はどうなったんだろう。火災発生しているっぽかったよな。怪我もしていたし。

 ああそういや、エルナと問答をかました聖修道会の信者は、落下した後逃亡していたな。きっちりそういう描写を何コマにも渡ってやってる辺り、伏線なんだろうな。
 その後彼は何をやるんだろう。きっちり逃げるだけとは思えない…地上のベルナドートに捕獲されてしまうか?
 結局このエピソードではヴァルのねいさんと刑事さんは絡んでこなかったか。さあどこで追い付く。
 
 そして単行本は今月27日発売。表紙はエルナと…シャールヴィと初代エルナか?ガンガン11月号購入してそこでのGFコミックス広告で表紙もちょっとは見れたんだが、これで確定か。

第29話「重度狂戦士」

 ありゃ、あっさり終わっちゃった?
 何だかエルナの養父母使い魔騒動と同じように、あっさりとした風に感じてしまった。

 とは言え大きな流れとしては、暴走特急や舞踏会テロのように話数は使ってるはずなんだよな。
 なのに使い魔編や今回の話で「あっさり短くまとめられた」と感じてしまう理由は、やはりエルナ1のテーマと重複する部分が多いエピソードだからだろう。使い魔編は正にエルナ1では(旧版で)単行本1冊使ってる訳だし、今回のエピソードはハルスホルト編のビッキを思い起こさせる訳だしね。

 「この時代に英雄はいない…」
 冒頭、ソーロッドのモノローグがずしりと来たのは、俺だけか?
 エルナ1の時代とは違い、人ひとりが動かせる力なんてたかが知れている。それは過去の人間が現在の人間より優れている訳ではなく(現実にもそんな風に勘違いして現在の世の中を卑下する人は少なからずいるようだけど)、「人間」と言う個人的な存在に出来る事がかなり少なくなったという事。そもそも弱い人間が「組織」と言うものを作り始め、それが軌道に乗った今の世の中ではね。

 「それでも現実を切り開くのは、常に人の意志の力だ」
 ここで、前回ラストのヴァルのダッシュやベリエルの決意に繋がる構成。やはりこれがエルナシリーズのテーマなのだろう。そしてソーロッドはそれを、ちっぽけな人間の力を、理解している。

 聖鎧の勇者(中の人はヴァル)降臨。
 前回感想で思った通り「チャンスは一度きり」だった訳か。しかし彼はそれを致命傷に出来ない。このまま逃げ去られるか。そう思ったらリョートが竜を御して彼を助ける。
 ……リョートって、どう見ても2階以上からまともに背中から転落したように思えるのだが、あんた何故普通に動けますか。漫画的おやくそくですか?

 エルナは「この人、人間なんでしょう!?」と、まだ狂戦士に対する攻撃を躊躇う。それに対して聖鎧の勇者は言う。「二度と人間に戻る事はない!」
 つーかエルナに較べて、ヴァルは使い魔編でキルマークつけてからは結構割り切り早いなあ…。彼には彼なりに葛藤があるとは思うけどね。暴走列車編で聖修道会のテロリストを刺殺した際に「神に祈りたいという気持ちは判らないでもない…」と言う発言と形相からしても。
 エルナにとって狂戦士が人間であるという事実は、彼女が戦う概念を揺らす根拠なんだろう。けどヴァルにとっては、そんなもんエルナの命を救うと言う前提を脅かす事実ではないんだろう。

 「何かに悩んでいた頃のほうが選べる未来は多かったはずなのに…」と言うヴァルの発言に反駁する、元映像作家志望の狂戦士。しかし彼は徐々に記憶と意思が薄れていく。夢を追い挫折していった回想の中、彼の姿は徐々に黒ずんでいき、言葉も鮮明ではなくなり、やがて消える。
 狂戦士になっても神の救いによってまた人間の姿を取り戻せる。そういう話でバルドゥルから狂戦士の種でも埋め込まれたんだろうか。確かに「神々」が再臨したら、その位の科学力は持ち合わせているかもしれないが…確証はないよな。
 そして彼は最後には泣く素振りを見せ、エルナを解放する。
 彼は、自らが選択肢の全てを放棄した事を悟ったのか、それは判らない。

 一方。領事館周りの警察が狂戦士を発見しライトアップ。対策本部にも映像が流れ、ニルソン中佐が「やはり出た!エルナスと聖修道会の闇に暗躍する怪物!」と、自説が正しかった事を確信し空軍を派遣する。
 ベルナドートは他のテロリストを殺害し(光剣でばっさりか。結構強いじゃないか)人質を救出しようとしている最中。テロリスト一名が竜で脱出しようとしている。

 狂戦士を袈裟懸けに切り裂くヴァル。しかし生命力の強さからか、狂戦士はまだ倒れない。
 エルナは泣きながら雷撃を放つ。それをヴァルが聖剣で受け止め、反魔法を狂戦士にぶつけて爆殺する…。

 「まずすぎる!衆人の目前で姫殿下の魔法!」とベルナドートは焦るが、おそらくはソーロッドの妨害によって放送アンテナは全てショート、破壊されて作戦本部などに映像は届かない。
 しかしその場にいた人間達を誤魔化せる訳ではないだろう。結局人質全員死亡・テロリストもほぼ死亡となった暴走特急に、一応貴族の舞踏会だからそれなりに事情が判ってそうな方々ばかりが参加しているであろう舞踏会テロとは違い、確実に事情が判ってなさそうな警察官やマスコミ連中などに目撃者多数か。ここから情報が連鎖していく?
 …あの刑事とねいさんがようやく追い付いて、色々言い訳してくれるのかな。

 「彼はその刹那には神に会えたのだろうか」
 神が人の心の中にいるのなら――その「神」を「神」として認められるのなら、その刹那に会えるのかも知れないなとか思った。

 狂戦士爆殺完了により、次回新展開…か?まだテロリスト全員片付いた訳じゃないからな。次回の冒頭でベルナドートが全員始末してるのかも知れんが。

 今回の話も小粒につつがなく終了、と言う感じだが…「この時代に英雄はいない」と言うソーロッドの発言が、このエルナ2を方向付けたような気がしてならない。
 ダイナミックな展開にそれでいて繊細な人物描写も特徴であるエルナ1は「古代の英雄物語」で、エルナ1からのファンとしてはエルナ2にもそれを期待したい。しかしそれをエルナ2に求めてはならないんだなあと感じた台詞なんですよ。個人的にはこれ。
 今回のエルナ達がどう足掻こうが、結果的に聖修道会や神々をどうにかしようが、あくまでもそれは国や団体の枠内に収まる出来事になってしまうんじゃないかなーと言うか…上手く言えないや。少なくとも「新たなる伝説」とはならないのではないか。そんな気がする。
 って、タイトルにしっかり「サーガ」ってついてるんだけどさ。

 まーともかく、エルナ1読んでる気分から切り離した方がいいのかなと思った。でもエルナ2で扱われるエピソードには明らかにエルナ1を被せてきてるモノもあるから、ますます読み解き辛くなるんだけどね。
 テーマ自体はエルナ1から一貫して変わらない。「人の意志の力」だと思ってるけどね。

第28話「交錯する力」

 単行本4巻発売は10/27告知。さてどこまで収録されるやら。そして目次ページは一体どんな挿絵になるのか。
 …表紙はエルナとへたれーずで決まってる雰囲気なので、特に想像を巡らせる余裕ないもんな。

 さて、今月感想。
 何だか登場人物が一気に増えました。使い捨てだったら惜しい限りですが…。どうだろう。エルナス貴族で騎士で、リョート並には魔法も使えるっぽいからエルナ側の戦力にはなりそうですし。

 とりあえず出てきた連中を箇条書き。
 ベルナトード…エルナスの外務省職員。参事官。実はエルナスのヨルドランド候のご子息で伯爵。しかし厄介事は抱えたくないらしく「侯爵家継ぐのやめよう、公務員で地味ーにやってこう」とか。エルナス王から直接電話を貰える関係。服装はあまり地味ではない。伊達野郎か。今回の作戦では「我が方の特殊部隊を突入させていただきたい」と乱入。
 ニルソン中佐…グードランド軍。警察に協力するために出向。
 グードランド警察…対策本部で目立っているのは黒髪の「グードランド中央警察から来たキャリア」君と対策本部長。

 グードランドには王族や貴族の話が出てこないので、立憲君主制じゃないみたいですね。完全に民主制なのか。
 エルナとシャールヴィが新しく打ち立てた国家がエルナスで、以前からあったグードランドがそのまま発展したのが現グードランドだろうに…あの女王様は後継者を用意せずに民主制に移行したんでしょうか。それともどこかで血筋が途切れ、そのままになっているのか。
 魔道書持ちもエルナスとエルナの戦友アースムンドが率いる正統修道会にある2冊のみだもんな。何故グードランドは蚊帳の外なのだろう。まさかエルナ達の時代から関係が途絶したんかな。
 エルナ達が大地を求めてかなり遠くまで旅をしたにせよ、現在では隣国関係でしかもそんなに互いの国家はでかくなさそうだし。エルナ1終了直後の両国の関係が良く判らない。

 ニルソン中佐は狂戦士の存在に気付きつつあるようです。だから突入準備として用意している部隊は「機甲小隊と、空軍も警戒態勢」との事。
 …キャリア君の「空挺特殊部隊とかじゃなくて、戦車?」と言う心の突っ込みからも判るように、ニルソン中佐はこれが単なるテロリスト掃討作戦になるとは思っていないようです。それこそ真っ当な軍事力突っ込まないと勝てない相手だと。
 「エルナス本国にあるエルナス側対策本部と…ここに来たあなたとでなにやらスタンスが違う」との指摘もある。ベルナトードはエルナス本国の連絡を待たずに特殊部隊を投入する様子。ニルソンの予想ではそれは「王立憲兵隊騎士団」…彼の予想が当たっているとしたら、「騎士」団だから、魔法の使い手投入とイコールと考えていいのかな。
 つまり、警察主体のエルナス側対策本部には、聖修道会が魔法を使うと言う情報は全くない訳だ。逆に爵位持ちのベルナトードは普通に知っている(王からの魔道書とエルナの魔力に関する情報を訊いても普通に流したと言う事は、彼の中に魔法の知識が普通に根付いていると言う事)情報だと言う事か。

 「エルナス王と貴族達は、聖修道会と秘密を共有しているのでは?」と言うニルソン中佐の指摘は、魔法や狂戦士の情報の示唆か。彼はそれが「魔法」「狂戦士」とは判っちゃいないが、それでもエルナスがマスコミから隠蔽しようとしている「不思議な力」「ありえないもの」が存在すると言う事実を知りつつある。
 そんな彼が見ているカメラの前で、狂戦士化したテロリストが出現する。遂に魔法の力がグードランド・エルナスに実況中継される事となるのだろうか。

 つーかここまで魔法の力で騒乱起こされたら、いくら何でも隠蔽し続けるのは無理なんでないかい。
 本格的な騒乱はエルナスヴィークでの聖剣奪取からにしても、目立った所では列車ジャック事件にエルナス舞踏会テロ。大きく報道されないにしても、グードランドの一都市で竜が飛び交ったり魔法でタンクローリー炎上したり(エルナが初めて襲撃されてリョートで出会ってカーチェイスやった辺りな)、或いは市場での襲撃とか。買い物客がたくさんいる中でリョートが魔法で撃たれてるじゃないか。
 あの世界に匿名掲示板はないのか。言語も共通みたいだし、情報の交換は容易だと思うんだけど。デジカメ撮影部隊が懸命にアップローダーにアップしまくり、動画も撮影してみたりさあ。ニュース映像に一瞬映った狂戦士もキャプチャーしてみたり。
 中には「これフェイクだろ(プ」みたいな奴とか出現するかもしれんが。あの映像作家のエルナ血まみれ作品みたいにな。
 「ありえない化け物が出現した地点をヲチするオフ」とか。…俺、何か毒されてるな。

 「市民に危害が出て市長が要請すれば軍は出動する」…戦車対狂戦士、或いは空軍対飛行型狂戦士か。そいつはすげえ。怪獣映画の世界。
 聖修道会も魔法の正体を知られたくないはずなんだけどなあ…バルドゥルの思想からしたら。「エルナスが勝手に報道管制引いてくれるし」と思ってやりたい放題してるのかもしれないけど、この分では遅かれ早かれバレると思うんですが。

 ベリエル脱出。そして他の僧兵達も彼を待っている。
 「僕は元々穢れた存在で…」に対し「只の命令なら受けませんよ」と普通に受け流したって事は、ベリエルが法王の隠し子って事実は知れてるのかな。それともそういう連想は浮かばずに、法王に処罰を受けた自分に関係すると「君まで罰を受ける」と言う事を受け流したのかな。

 さらわれるエルナに、魔法を失ったリョートは体を張って狂戦士を止めようとするが、尻尾ではたかれて落下。魔法がないから勢いを殺す事も出来ないし、確実に骨は折れたな。戦線離脱か。

 「無駄なのか?俺らはこんなに力がなくて、でも…」ヴァルの独白に、僧兵達の言葉が掛かる。

 「成果が約束されなくとも、法王様に背こうとも、心がすべきと叫ぶ言葉に逆らえましょうか?」

 そしてヴァルは走り出す。「くそう、まだ終わってない!」…まだだと繰り返し叫びながら。

 …不覚にもここで泣けた。
 ヴァルは直接的に力がない。狂戦士を倒すには力が足りず、エルナを今まさに失おうとしている。そしてベリエルは間接的に力がない。立場的に逆らえない法王に軟禁されてしまい、エルナ達を手助けできない。
 しかし…失敗するかもしれない、それでも自分を駆り立てる衝動に逆らう事は不可能だ。
 いや。そこで逆らってしまっては後悔するのみだ。自らの心に嘘をついて殺す事は、多大な負担が掛かるのだと。

 本当にエルナシリーズのテーマは、これなんだな。そしてエルナ2の主人公は、エルナではなくヴァルなんだなあ。

 必死に走るヴァルには魔法が殆どない。無謀な特攻だろう。しかし、そこにベリエルの指示により聖剣と聖鎧が転送されてくる。聖剣の勇者降臨。
 …そういやこの鎧は「魔法力を変換して筋力に変える」んだよな。今のヴァルが来ても、本当に一撃必殺で決めなきゃ攻撃力がなさそうだなあ。

 竜の方はベルナトード及び軍か騎士団に任せる事になっちゃうかな。
 そして何時になったらヴァルのねいさんと刑事さんは合流するんですかね。ねいさんは真剣に強そうなので、魔法がないテロリスト相手なら大丈夫そうだが…銃で武装してるかなあ。



「エルナ2」TOP「frontier」TOP