「聖戦記 エルナサーガ2」感想/第3巻分
03年8月号〜04年1月号掲載。基本的に雑誌掲載時の感想。

4757511809聖戦記 エルナサーガII (3)
堤 抄子

スクウェア・エニックス 2004-03-27
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単行本収録時のエラッタ
  • 冒頭に勇者伝説と「エルナサーガ」を書き足し。そこから第15話に続くよう文章も被る。
  • 当たり前だが「ノズル山」は「ノルズ山」の間違いかと思われる。
  • 第16話トビラ、連載時には王妃の前話ラストの台詞が被っていたが、単行本収録時には削除。
  • 見返しの作者コメントによると、エルナ2とはやはり変身ヒーローモノらしい。


第20話「代償」
 表紙。をいをいいつの間にやらベリエルとスヴァンもレギュラー昇格ですかみたいな感じですな。

 エルナ、あっさりとクレトゥス使う。結構真円に近い形してるなーシャールヴィ並の魔法を持ってそうです。そしてふたりはそのまま吹っ飛ばされて、丁度開いてたマンホールへ。
 それを追うビョルン、更にそれを追うヴァルやリョート。とりあえずマンホールを隠して一般人の振りをするベリエルとエルナスの騎士達。
 これで邪魔は入らない、5人の駆け引きとなります。

 連絡を受けるバルドゥル。
 つーかリムジンかよ。同席しているのは強面のボディガードかよ。何つーか、宗教家と言うよりかはまんまテロリストのボスみたいに見えてならない構図ではある。
 「ウーロフ博士」のところへ向かう途中だった模様。エストベリが言っていた狂戦士研究か何かをしている博士ですか。その割にはエストベリは同席してない様子ですね。

 気を失ったエルナを担いでスヴァンは逃げる。気付いたエルナは治癒をかけようとするが、口の中切って上手く喋れない。…成程、魔法を封じるためには顔ボコって喋れなくすると言う手段もないではないのか。厭な手段だなおい。
 伝説の勇者の話。彼は本当に普通の人間だった。体格も普通だし、魔法の量も普通だったらしい。…体格は鎧から類推できるとして(ん?なら聖鎧って彼のオーダーメイド?彼は聖鎧を発掘などによって手に入れた訳ではなく、神が彼に与えるために聖鎧を作った?)、魔法の量とは一体何処から伝わってきたのかいな。
 伝説が伝えていたなら、「1」のアトリの「勇者は魔法が全く使えなかったんじゃないのか?」やらシャールヴィの「もしかして勇者ってのは魔法が無茶苦茶多い奴だったのかもしれないぞ」やら、そういう疑問はないはずなのでは。彼らが単純に伝説を知らなかっただけか?

 つーかリョート。反省出来てないし!あんた懲りてないよ!
 「姫は私が守る!」…あんた姫様絡めば本当に視野狭窄になるんだな。ヴァルが物音立てるなっつってんのに。
 そしてエルナのみを発見。ヴァルには治癒がもう一発残ってたようなのでエルナに使う。
 しかしスヴァンはエルナを残していった。自分が囮となってエルナを逃がすために。
 そして彼はビョルンの手に落ちた。
 「エルナを出せ。さもないとこいつを殺す」

 さて。ここから最高の鬱展開、最悪の展開になります。
 これによってスヴァンが死亡。

 …全員が互いの心情を読み違えた結果がこのような最悪の展開を呼び起こします。

 リョートは「姫様の命と一般人の命がどちらが大切か、そんなもの較べるまでもない」として、ビョルンを倒すべく無視して呪文詠唱開始。無論、彼はヴァルもそう思っていると信じている。
 詠唱を開始された事に気付いたビョルンは交渉決裂として、スヴァンに風針をぶち当て始める。これ、貫通力のある小さな空気弾を撃ち付けるような魔法かな。拳銃の代わりになりますか。つーか本当にこいつプロのテロリストか?人質取った狙撃手は、ターゲットをおびき寄せるために「派手に出血する箇所」を狙うが、胸とか危ない場所はまず狙わないだろうに。

 が、ヴァルはリョートを殴ってでも止める。そしてエルナもまたヴァルと同じ考えだった。
 「私にとってスヴァンは只の人じゃない、大体世界に只の人間なんかいない」と。ある人間は、絶対に誰かの大切な人間であるのだと。

 つーかマジでプロじゃねえよビョルン。こんな事で激昂するなよ。しかもヴァルまで殺そうとしてるし。しまいにゃエルナまでやっちまう気満々かい。
 水の精霊を介してその様子を見守っていたバルドゥルが半ば呆れて介入。濁流でビョルンを押し流す。あんた部下はもうちょっと選んだ方がいいです。
 それにしても魔法使いは各系統の魔法に特化する事も出来るんですね。「1」の時代の魔法使いはそこそこ万能に魔法を使ってましたから。バルドゥルは水系の魔法しか使えないのか、それとも彼が水系が好みなだけなのか。
 水系の魔法しか解読出来てない訳ではないよなー聖修道会側って炎に風に、様々な魔法使ってるし。

 撃たれまくったスヴァンは瀕死。そして静かに死を迎える。
 ヴァルとは小学生時代からの親友で、エルナとも付き合いがあった。「ずっと尊敬してた」「俺もだよ」と言うやり取りがヨーロッパ的だなあと思ったり。
 …死んでしまった訳だが、彼どういう扱いになるんだ?警察にどう説明するよ。説明できないからそのまま正統修道会に連れて帰って、そこで丁重に弔う事になるのかね。しかしそれはそれでいいとして、彼にも親はいるだろうし何より彼女がいるんだよ。テロの犠牲と言うには…なあ。

 「日常や普通とはかけ離れた所に来ちまったな…」期せずして、この話でのスヴァンの呟き。「1」では戦争が日常を容易く断ち切る様を描いた。そして「2」ではそれはテロリズムになるのだろうか。
 テロは日常に深く入り込んだ挙句に唐突に姿を現す暴力であるが故に、戦争よりも対処が難しい。聖修道会には彼らなりの正義があるのかもしれない。しかしその正義によって殺される人間もいる。「奴らにとって今の世は誤りだからな」リョートは彼らをそう評したっけな。
 現代において価値観は複雑になっていて、何が正義かなんて判らない。しかし、こちら側が害される以上、相手側を萎えるまでぶちのめすしかないのだろう。
 現実にはベストな選択肢は滅多に現れない。ベターな選択肢を選んでいくのみだ。

 リョートはヴァルに謝る。しかしヴァルは「いいよもう」と言う。果たしてそれは赦しなのかそれとも投げ槍な思考から来た台詞なのか。
 そしてリョートは一体何に対して謝ってるのかも良く判らない。本当に自分が何をしでかしたのか、判っているのだろうか。

 そういやこの話のタイトルって「代償」だったな。

第19話「追跡」
 全話あらすじに追加した際に気付いたんですが、6話とタイトル被ってるぞ。編集のミスか?単行本収録の際に改題される可能性がありますね。本当に3巻収録時に改定されましたのでここでも改定しておきます。雑誌収録時は「追手」でした。(04/4/12)
 表紙。エルナは冬でもミニスカ。そういや先月触れるのを忘れてましたが、プリンセス辞めたらあっさりミニスカでしたな。彼女には何かポリシーでもあるのでしょうか。
 ソーロッドもマスコットとして馴染んできましたね。

 (ストーリー的には)いい感じでリョートが煮詰まってきてます。姫様第一の信念のために、却って視野狭窄に陥ってきた。
 17話のエルナの独白により、ヴァルとエルナの間には割って入れそうにない事に勘付いたか。そしてひとまず3人パーティ再結成したものの、やはり自分の居場所が見付からない事に焦りを感じるのか。リョートのそんな煮詰まりに他のふたりは気付かないのか、今まで通りにふたりの世界を築いていく。それがますますリョートを焦らせる。

 ヴァルはエルナを正統修道会の大聖堂に連れて行く事にする。正統修道会の分派としてその歴史と権威を利用するからこそ、聖修道会は信者を獲得するのだと彼は言う。だから正統修道会を正面切って敵には回せない→だからエルナスに対するような攻勢はあり得ないと。
 …うーん、これヴァルが自分で考えた結論なのかなあ。ソーロッドの言う事を鵜呑みにした結論でなければいいんだが。
 信じている神様は一緒と言う事らしいが、この世界における神とはどういう概念なんだろうな。「1」の段階でもいまいちぴんと来なかったけど。つーか勇者信仰(初代勇者や初代エルナ)は発達しなかったのかなあ。アレだけ伝説化してるのに。特に初代エルナは「神の加護なき闇の姫御子」だったのだから、神信仰からは完全に分化しそうなもんだが。
 で、リョートはヴァルをも信じないようになってきた。確かに敵と戦ってる際、ヴァルは一緒にいなかったもんな。この前の舞踏会だけではなく、列車テロの際にも。

 正統修道会からの出迎えとしてスヴァンとベリエルがやってくる。すっかり正統修道会の一員になりかけてるなあスヴァン。「ヴァルに鎧の具合を訊きたいから」一緒についていくと言う事。あの転送装置にヴァルが入る前に、一応一言二言会話はしたのかな。スヴァンが居る事は知ってるのかな。
 転送装置には大量の電力が必要で、そのチャージに時間が掛かるために頻繁には使えないようですね。その辺は「大量の魔力と時間を必要とするため、戦力に余裕がないと使用できなかった」転送魔法と同一ですか。「1」のアーサトゥアル軍では、捕虜にした大勢の魔道師を使う事によって、最終的にはばかすか転送しまくってましたが。
 それにしても修道会クッキーやら「女性って大変だねえ」やら、呑気なもんだ。ベリエルは戦闘力には欠ける様子。普通のにーちゃんっぽいから魔法は少ないのか。

 そして、リョートにグードランド警察(と名乗る男)が接触。「ヴァルを逮捕したい。無実なら出頭して証明すべきだ」「エルナス王家に迷惑はかけない」「グードランドは中立だ、だからあなたは姫君と一緒にグードランドで暮らすのが最も安全では?」…煮詰まってるリョートの満たされたい部分を突く突く。
 特にここでボールド指定した部分な。落ち着いて考えろよリョート。そこ姫様の安全とは関係ねーじゃん。それに「正統修道会に行く事が危険」の根拠を説明してねーじゃん。何で納得するんだよ。本当にボールド指定した部分にまんまと釣られたとしか思えない。
 おそらくリョート自身は認めないだろうが、彼は「ヴァルの安全」と「自分とエルナが一緒に居る事」を天秤にかけた挙句、速攻で後者を取った。だからヴァルを警察に売る事になる。

 が、彼らは聖修道会だった訳だよ。これがバルドゥルの策略なら本当に3人の心情を見抜いてしまってるな。
 でも聖修道会は拙速でしたな。折角グードランド警察の振りしてたんだから、もうちょっと引っ張って3人(と正統修道会)を分断した挙句にそれぞれ始末に掛かれば良かったのに。
 ともかくエルナを拉致。ビョルン司教登場と言う事は彼がまた実行犯か?ずっとこの3人に阻止され続けて来てるなら、そりゃ3人の心情なども読み易いか。
 そしてヴァルは確保する気満々。魔法の解読者は聖修道会においても重要であるらしい。ヴァルのパソコンを盗んだりしたのも、やはり解読した魔法を確保したかったがためなのだろう。
 しかしリョートは殺す気満々。一番いらない奴って事か。エルナスは元々敵認定なのだから、エルナスの騎士たる彼を殺した所で対外的にも全く影響はないんだろうしな。流石にグードランドの人間だったら躊躇するでしょうけど。
 ここまではまあ拙速でも良かったんだろうが、リョートを追っ駆けていたエルナスの騎士二人組によってひとりをばっさりやられる。そこから崩れてくる。

 ヴァルの魔法の量は治癒魔法2回分って所か。これが普通の人間の魔法の量なのかな。昔は一般兵士でも治癒は使えたのだから、自分の傷位はとっとと治して戦ってたんだろうな。
 で、雷撃を使うために必要な魔法の量は治癒2発どころではないのか。それどころかシャールヴィや現在のエルナは雷撃連発できる魔法の量がある訳で…そりゃ相対的に考えたら「これが王族の力か」とリョートが感嘆する訳だな。

 スヴァン、エルナを助けるためにカーチェイス。しかし敵は魔法を打とうとする。それを止めるビョルン司教。しかし魔法は発動してエルナとスヴァンに向かって発射される。
 …ビョルンの指摘によって魔法の詠唱を途中で止めたっぽいんだが、それでも何らかの作用はしたらしいな。逆に言うと完全な形で魔法は発動してないと思われるので、エルナのクレトゥスなら何とか防げるんじゃなかろうか。…教えて貰ってたっけ。

 何にせよ、1話の中にしては展開が早いです。リョートの煮詰まり→それによる裏切り行為→破綻→反省までを一気にこなしてしまいました。
 魔法が完全に発動しなかったにせよ、エルナが怪我を負ったりした場合、リョートはかなりへこみそうです。

第18話「神の家」
 結局3人で旅する事に決定。
 あっさり出奔出来たもんだな。本当に王位継承者はエルナひとりだけなのか?一応リョート同僚の騎士も隠れてガードしてくれる様子だが。
 それはそうとリョート轟沈。「既に姫様に手を…!」で貧血になるなよ。純粋培養にも程がある。同僚の騎士と猥談とかやらんのかこいつら。
 で、相変わらずリョートはヴァルが嫌いだと。ベッドを放そうとする辺り、こいつらガキだなあ。
 ヴァルがエルナに魔法をいくつか教えておく事に。これで彼女の使える魔法も増えた。雷撃一発勝負ではなくなったようです。しかし一回で詠唱と掌相を記憶できる辺り、エルナって凄いな。
 炎系を教えて貰ったらしいですから、炎櫛や炎波動とかその辺ですかね。どっかん娘への道を着実に進んでいるようです。「弱点とかあるの?」「そうだな、相手が強い風系とか、水系を使うと…」との事。確かに風系使ったら周りに延焼しそうで怖いし、それ以前に風系って短呪系だから炎系唱えてる暇なさそうだな。そして水系はエルナ1では出てこなかった魔法だな。

 今後の作戦。「明朝に通勤ラッシュに紛れてグードランドに戻り、修道会領に入る」「正統修道会を頼る」と言うのがヴァルの意見。しかしリョートはそれに同意できない様子。
 正統修道会は聖修道会には毅然とした態度を取らないようです。破門して終わりか。
 だから実際に聖修道会と激しく対立しているエルナスの人間である(しかも騎士と言う完全に体制側の人間である)リョートとしては「何だよあいつら」と思えて仕方ないんだろうな。お前らがしっかりしないから俺達が苦労するんだってな感じか。

 所変わって、聖修道会サイド。エルナ2としては初めての敵勢力へのクローズアップ。
 聖修道会の大魔道師バルドゥル。教団の実質最高位である枢機卿であるようですが…ここで疑問がいくつか沸いて来ます。
 ひとつ。「教団の最高位」と言う事ですが、彼が聖修道会の創始者なのか。それとも聖修道会は以前から存在する組織で、彼は出世の末にこの地位を得たのか。
 ふたつ。枢機卿が実質最高位なら、その上には誰か存在すべきなのか。我々の世界のキリスト教なら教皇だよなあ。何故その地位が現在不在なのか。それともバルドゥルが「教皇」を廃した簒奪者であるのか。

 …とりあえずバルドゥルの主張は「かつて聖アースムンドは魔法を封印した訳ですが、苦しんでいる人達を救うために魔法を使う事の何処がいけないのでしょう」…それはいいんだが、何故治癒魔法だけで満足せずに騒乱を起こすんだ?
 そもそも聖修道会の目的は「エルナスの魔道書を得る」だったはずだが、そこには破壊の魔法も山程ある訳で。
 とーかー思ったらー「病の時、傷ついた時こそ 全身の細胞が生きようと輝いている…美しい…」ってあなた。只の快楽魔法使い、精神逝ってる奴っぽいじゃないですか。自分で誰かを傷つけて、そして自分で治してやるのも楽しいらしい。駄目じゃん。
 こういう、常人には理解出来ない筋道の考え方の持ち主が敵方にいるのは、初めてかもしれないな。「1」のヴァーリは復讐という妄執に取り憑かれた末の破壊衝動でしたが、彼には彼なりの正義があったんだしなあ。しかしこのバルドゥルの考え方はどう考えても「正義」じゃないだろ。

 そんなバルドゥルは水系魔法使いのようですな。どうやらエルナとぶつかったら只では済みそうにありません。エストベリ引いてるし。
 そして彼にエルナを殺すつもりはないらしいです。今までのテロの実質指揮を取ってきたビョルン司教が暴走してたっぽいですね。その目的は、やはりエルナの魔法の量なんでしょうか。ついでにエルナスへの人質に出来たら魔法書も入手できそうだしオッケイですね♪みたいな感じか。

 「人との繋がりにはほころびが出来るものですから」…そんな台詞吐いたらB級悪役まっしぐらって感じですなあ。
 実際ヴァルとリョートの間は微妙な感じです。微妙な感じですが…あんたそれを見てきたみたいに把握してますなあ。
第17話「来臨」
「…皆、俺達はとんでもない勘違いをしていたようだ。エルナサーガ2とは現代世界における魔法の侵食を描く漫画だと思っていたが、実は違うんだよ!ヒーロー漫画だったんだ!!」
「な、何だってー!?」
 …などと言う阿呆な感想を書いてしまいたくなる展開でした。

 ともあれセンターカラー。こうして見たら「騎士とお姫様」なんですが、本編ではどうにも。
 冒頭、正統修道会の面々による魔法装置の説明。出張ってきそうなにーちゃん僧侶はベリエルという名前ですか。
 で、前回俺が疑問に思った「魔法装置が実用化可能なら聖修道会は苦労して魔法の復活をする必要はないのではないか?」に見事に答えて貰いました。まさかこんな感想サイト見られてる訳じゃないでしょうが、普通の読者も疑問に思う辺りに速攻答えを出してくれる辺りいいな。
 転移魔法と他の魔法は系統が全く違うために、転移魔法の魔法装置は他の魔法にロジックを転用できないと言う事ですな。つまりはSFで言うテレポーターの役割を果たすと。
 この魔法装置のロジックが聖修道会にもあるなら、あちら側も転移魔法は使えるんでしょうな。と言うか普通に転移魔法を解読しているかもしれないけど。

 そしてヴァル降臨。そして聖鎧の説明。
 聖鎧は装備者の魔法を筋力に変換する。そして魔法を筋力に変換するから、装備者には魔法が殆ど残らない。だから封魔剣である聖剣を振るう事が出来る。
 どうやら聖鎧装備者が聖剣を振るう事が出来るってのは、副産物っぽいですね。神はセットで剣と鎧を作った訳ではないのかもしれない。初代勇者だって神から直接装備品を受け取ったとは言ってないですし。
 初代勇者が聖剣を振るえたのは、初代エルナのように魔法が使えなかったからではないと言う事で確定。むしろ「魔法を筋力に変換する」のだから、魔法が無茶苦茶多い人間だったのかもしれません。シャールヴィが一回示唆してましたね。
 鎧は殆どの魔法を筋力に変換するが、それでも全てを変換しきれる訳ではない。残った魔法は振るわれる封魔剣と反応してしまう。つまり最終決戦時のシャールヴィ状態に陥る。初代勇者は魔獣を倒せなかった訳ですし、封魔呪や魔風を喰らいまくって短命だったのかもしれません。って初期の魔獣は魔風を噴き出したっけ。暴走した際に既に魔風発生源になってたっけ。

 聖剣を振るう騎士、中の人はヴァル。しかし聖剣の影響からか、一回剣を振っただけで既に倒れかけ。…こんなんじゃ聖鎧も大した防御になってねーなー。初代勇者もかなり苦しかっただろう。
 しかしエルナは気付く。彼が「ヴァル」である事に。「私の心の側にいてくれようとしてる…」そして雷撃詠唱開始。
 …リョートは置いて行かれましたな。失恋決定ですか。エルナはヴァルが好きって事でFAかな。今回は恋愛部分の展開が早い、と言うかキャラが自分の気持ちを把握出来ているので前作のようにやきもきしながら読む事もなさそうです。

 ソーロッドはエルナが戦う事に満足する。「王室の外で育てるように画策した甲斐があったな…」
 って彼女はどうして王室の外で育てられる事となったのか。その辺がまだ曖昧だ。父親は「子供の頃位は自由に生きさせたい」とか言ってましたが、世継ぎがひとりなら普通外には出さないよな。それとも外に出した時点では他の世継ぎが存在したのか?或いは未来に存在する予定があったのか?
 いや、つまりは前者の場合は兄でもいたのかとか。後者の場合はエルナを外に出した時点で母親は世継ぎを身篭っていたのかとか。どちらにせよ亡くなったかそれとも廃嫡しなければならない理由でもあったのか。
 そういやこの国って基本的には男子が王位継承するのかな。女子と男子が居たとしたら、年齢に関係なくまず男子相続なのかね。現在の日本とは違って、男子がいなかったらエルナが女王になってもいいっぽいですが。
 世継ぎが他に居たという可能性が俺の妄想でしかないなら、ますます彼女が外で育てられた理由がない。ソーロッドがそれを画策したと言うなら、彼が精霊として王の枕元にでも立ったか?ってアダ戦記みたいだな。

 雷撃を聖剣に反応させる事で狂戦士を爆殺。ついでに舞踏会会場も吹っ飛ばす。そしてへたれーヴァルも爆風に吹っ飛ばされる。お前絶対勇者の器じゃないと思うぞ。
 聖剣と聖鎧は転移魔法によって回収。…おや?そんな事出来るのか。あらかじめ舞踏会会場周辺に転移魔法の設定を行っていたのかね。かなり広いと思われるんだが。ソーロッドが転移魔法を使う訳はないよなー彼は雷精だから雷系以外の魔法は使えないだろう。

 鎧と剣の事は口外するなとソーロッドは釘を刺す。エルナにすら話すなと言う事か。本当に彼のする事はエルナ達のためになるのだろうかと疑問が生じてきました。彼は彼で何らかの目的のためにエルナとヴァルを利用しているだけのように。正統修道会さえも利用しているのかもしれません。
 では、彼の目的とは?第2話辺りで魔法を復活させる事に意義があるみたいな事を言っていた。ならば「魔法の封印」が目的であるエルナスとはまず相容れない。が、正統修道会もアースムンドが出した魔法禁止令を戒律として未だに守る宗教団体である。つまり正統修道会も本来ならソーロッドとは相容れないのではないだろうか。
 つーかむしろ当面の敵である聖修道会こそが「魔法の復活」を旗印にしてるんだよな。但し彼らはエルナの確保、ないしは殺害を狙っている。魔法の量が多い人間が欲しかったソーロッドにしてみたらそれはまずい。だからひとまず彼女を守る…てな感じに読み取れない事もないんじゃないのか。
 なら、エルナの安全が確保できるなら、聖修道会と結ばせる事も考えられ……?
 うわー裏読んでたら、最終的には誰が味方で敵に回るか全く判らなくなってきた。

 そんなソーロッドの考えの裏なんか読みやしないヴァルは、馬鹿正直に鎧と剣の事を隠してエルナにとぼけるのであった。
 …ほら、感想冒頭に書いた通りヒーローモノじゃないか。今度もこんな事があるんだろうかね。鎧と剣はその都度転移魔法でヴァルの元に飛ばして、ヴァルは物陰でそれを装着。…ソーロッド、ヴァルが大変だから魔法のステッキでも作ってやってそれを振るったら装備できるようにしてや(ry

 で、あっさり騙されるエルナとリョート。楽しいトリオ再結成。
 とりあえず一区切り。来月からは新展開でしょう。

第16話「対決」
 2巻9/27発売決定告知掲載。
 前回が7話までなので次も7話掲載で14話までだろうか。でも前回は1話が短縮バージョンだったから13話までかもしれん。

 今回のエルナも王族の役目よりも勇者としての行動を選んだ。あたかも前回のエルナがアーサトゥアルを守るために聖剣の柄を握る役目を負う事になっていたのに、城を出たかのように。
 それはシャールヴィにさらわれると言う不可抗力だったが、彼女は最後まで祖国が課した役目を否定した。そして彼女は勇者になった。
 育ての親達はいい育て方したんだなあ。彼女自身は自分が姫だなんて判ってなかったのに。彼らの教えが心にある。
 それにしても「また考えなしにいっちまう」とエルナを追って守るリョートは、段々シャールヴィちっくに思えてきました。先代エルナもこんな感じだったよなー。

 TVクルーの根性によりこの混乱は中継中。髪を下ろすとイメージ全然違うなエルナ。この映像で前回登場の警察官のにーちゃんは、自分が会ったエルナであると気付いたでしょうか。それっぽいですが。
 また雷撃発動。折角王家に戻ったのだから、魔法書を読んでおいて他の魔法を学んでおけば良かったのに。「戦わなくていい」と言われているのだから無理な注文ですね。リョートはいくらか魔法を知っているようですから、後で色々教わらないと、これ一発だけでは乗り切れないだろう。
 あのへたれーと合流すれば知識は充分か。

 そして来ました、へたれー3ヶ月振りの登場。
 「お前は犠牲を払っても彼女を助けたいと言ったな」とソーロッド。そしてヴァルは聖鎧と共に転送される…と言うシーンだと思われる。
 ラストに現れた鎧の戦士こそがヴァルだと思うが、では彼が払う「犠牲」とは?
 エルナに正体を明かせないとか?鎧を纏う事で魔法を吸収されて短命になるのか?それとも最早彼には自由意志はない、エルナを守るだけの妄執に取り憑かれるのか?
 以前それを纏っていた勇者はたった独りで戦った。今度は団体戦となるとどうなるのだろう。

 正統修道会はヴァル達の味方でソーロッドの指示によって動いているって事か。だとしたらソーロッドは以前「エルナをエルナスに行かせるな」とヴァルに命令したのだから、仮にエルナと合流したらそのままエルナスに戻らないつもりだろうか。
 もっとも王女を辞めたのだから、それはいいのかもしれない。リョートがうるさそうだが、何だかんだいって付いてくるのだろう。うわーい丸く収まったー。
 で、機械に魔法をやらせるってあなた、魔方陣はそれでいいとして、魔法力自体はどうやって供給するんだよ。人力以外でも魔法力って発生出来るのか?だとしたら聖修道会も楽だろうに。

 そして、今回の狂戦士には雷撃すら通用しない。「後期魔精霊戦争の狂戦士は魔法だけでは倒せない」とソーロッドも言った。だが、先代エルナの時代、雷撃さえ当たればどうにか倒せてなかったっけ…?だとしたら魔精霊戦争は別の話なのか?
何気に出てきた「ウーロフ博士の研究」と言う台詞が気になる。ウーロフ博士と言う人物は存命中で現在研究中なのか?それともこれも過去の遺産で、エストベリが解読した結果か?
 更には、聖修道会に奪われた「最重要聖遺物」とは?聖剣ではないのか?あのコマはイメージイラストなのか?全く判らんぞこら(逆ギレ)。
 聖修道会やら正統修道会やらややこしいし地名もこんがらがってきたので、単行本出たらその辺を整理したいと思っています。そう言うサイトなさそうだし便利そうだ(こんな所見てる人いないだろうが)。

 謎が謎を呼んだまま、鎧の戦士(多分へたれー)降臨。来月号が楽しみだ。

第15話「ザ・プリンセス・オブ・エルナス」
 表紙はエルナお姫様状態。これが「ザ・プリンセス・オブ・エルナス」という事か。前号の初代勇者表紙との対比?
 後ろに書かれている紋章には初代エルナ。聖剣と聖盾装備にラヴァルタ家で貰った鎧と、最終決戦時の装備か。アルファベットのE(エルナスの頭文字?)みたいな文字で囲まれている。背景の文字にも何らかの意味があるとしたら凄いが、解読は出来ん。

 いよいよ犯罪者扱いになってきたヴァル(今月も不在)。
 この刑事は狂言回しとして使われるのでしょうか。スヴァン並に再登場はないと思っていたんですが。警ら隊なら捜査活動は出来ないけどな。
 ネットで配信されるニュース動画を普通に見る事が出来るのか。解像度はどうなんだろう。「エルナ?まさかな印象違うし」と言い切れるから、かなり解像度高いのかな。
 そして他人事のようにエルナス王宮の支持率とテロリストの話をやる女性警官。そういやここはグードランドだったか。隣国の政治状況なんかそんなもんか。
 「どうして聖修道会なんか信じる人がいるんだ?あんなテロ集団」「テロに関しては教団本部は否定してますからねえ」…つまり一般的にはイスラムとイスラム系テロリストみたいな感じに思われてるのか?その実はオウム改めアレフみたいなもんなのかもしれないけれども、とりあえずは。
 「原初の神の支配に戻るべきと言う原理主義で王制と対立する主張は同じです」と言うことで、そう言う信者が増えている事実はエルナス王家としてもかなり苦しい。テロ集団側としても「自分達の主張に共感する人間が増えている」と言う事実は彼らに後ろ盾を与える事となるのだから。
 あたかも、WTCにハイジャックされた航空機が突っ込んだ時のように。

 …そんなシビアなパワーバランスなんか考慮せずに、エルナとリョートは能天気にラブコメしおってからにもう。
 それにしても今回のエルナは先代エルナとは違って恋愛感情においては人並みらしい。先代は酷かったからなあ。新装版書き下ろしマンガでシャールヴィに「結婚してくれないか」と言われてようやくシャールヴィの気持ちが判った程の鈍さだったし。
 言われると困っちゃうらしいが、果たしてリョートの事はどう思っているのやら。と言うかヴァルの事位思い出してやってくれ。アーサトゥアル大に戻って無事と教えられてるにせよ。もう彼とは世界が違うと自覚したのかもしれないが。

 で、舞踏会テロ。狂戦士送り込みか。
 エルナス国内では中継が行われてたんだろうか。だとしたらあの「カプ」が実況されてしまったのか。確かに破壊と恐怖を顕示させる場には持って来いだ。

 エストベリは結構昔の書物を読んだらしい。「魔精霊戦争」とは先代エルナの戦争の事だろうか。それともあの後にも何らかの戦争が行われてしまったのだろうか。魔法がアースムンドの手によって封印されたなら、そんな事はないか。
 と言うかエストベリは何者なんだ。聖修道会の書物を解読する能力があったならそれでいいんだが、聖修道会が持たない書物で学んだとしたら、一体その書物は何処から持ってきたんだ。或いは…ソーロッドみたいに精霊だったりしないか。人外の存在が人間を騙ってるのかもしれないなあとちょっと思った。

 そしてラスト。エルナを退避させようとするリョート達と、自分が雷撃を使えば皆を助けられるかもしれないと焦るエルナ。そんな彼女に対して彼女の母親にして王妃は告げる。

 私達は昔の王族とは違う。やるべき事は議会が決定する。戦わず逃げて生き延びて、国民の前で笑っている事が仕事だと。

 王族が魔法力に優れ、実際に他の人間よりも強い力を持つ以上、そのようなシビリアンコントロールが成されるのが立憲君主制でしょう。王制ではないのだから。
 先代エルナとシャールヴィは確かに伝説にあるように戦った。彼らが身を投げ出す事でようやく民衆は説得されて、新しい大地へ向かう事が出来た。
 しかし今はそんな時代ではない。王族のニュースは国民に穏やかさを与えるためのモノなのでしょう。だから、逃げてその微笑を絶やさないようにする。それが仕事なのだと。某オルフィーナでも読んだなーと。ありゃファンタジーだが。

 エルナは戦うだけの力は持っているかもしれない。でもそれを持ち出したら軋轢が生まれるだろう。喜ぶ人ばかりではない。王族の魔法を実際の力を認識したら、恐怖する人も居るだろう。そうなれば…。
 何だか日本の天皇制とそれが抱える問題点を思い起こさせる展開に、かなり真面目に読もうと思いました。



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