「聖戦記 エルナサーガ2」最新感想

第42話「降臨」

 次回最終回確定。

 そんな訳で、物凄く感想を書くのに気が進みません。ああ、もう祭りは終わりなんだなあ。寂しいなあ。
 GFが堤抄子を切るとは思えないので、GFは暫く買い続けるつもりです。気になる漫画も結構あるし。半年後もすれば、堤抄子の新作か短編が載ると思う…希望だけど。

 感想やります。まずクッキー工場パート。
 ベリエル生きてて良かったー。レギュラーキャラは死なないのが、つっつー漫画のパターンなんでしょうか。
 正統修道会の特務機関の連中は、本当に魔法を学んでいないんですね。だから使おうと思っても使えないようになっているのか。修道士だし「知識」として魔法を知り、戒律でそれを封じ込めているのかと思ってたんですが…。
 とすると、正統修道会の修道士は全員、本当に魔法を知らんのだな。後述するけど、教皇ですら「私は魔法は使えぬぞ」ですし。戒律は絶対で、知識として知る事も許されないって事か。
 でも、ベルナドートに魔法を使って貰って傷を治して貰うのは「戒律」に抵触しないのか。自分が魔法を使うのはいかんが、誰かに肩代わりして貰うのは構わんのか。御都合主義な戒律だなあ…とか思ってしまったよ。

 そのべるなん、セルマねいさんとナイスなコンビを結成。
 ねいさん、マジで最強だな。この人に怯みと言う感情は存在しないのか。明らかに高い場所から躊躇いなく飛び降りてるし。飛び降りた時、下の聖修道会テロリストに絶対見えとるよな(何が)。
 クレトゥスって内側から物理的に破れるのか。「そんな事誰もやった事がない」とべるなんが言ってましたな。セルマは本当に常識では考えられない戦い方をしてるんか。「私もちょっぴり自信家だけど」と言ってますが、後ろの「何処がだよ」と突っ込みを入れたくて仕方がないべるなんが笑える。
 と言うか彼女は「拳法家」なんですかね。ニルソンが喩えただけなんかね。

 一方、神の攻撃が始まる地上。落雷域が恐ろしいスピードで広がる。修道会領とグードランドがあるのは「央州」って言うんだな。多分、エルナスも含まれてるんだろうかね…隣接地域だし、敢えて神の攻撃が避けられているって可能性も考えられないし。
 で、アメリア合衆国があるのは、やはり新大陸なんだろうか。だとしたら、この「地球」は我々の住む地球のパラレルワールドみたいな作りになってる?地図は違うみたいだけどさ。

 …何と言うか、恐ろしい考えが浮かんだんだが。エルナとは関係ないけど。
 アダ戦記って、明らかに我々の太陽系がモチーフなんだよな。アダの住む「中つ星」が火星で(ふたつの月の自転・公転周期が、明らかにフォボスとダイモス)、太陽の膨張によって水星が飲み込まれてる時代。太陽の膨張が始まった時期に、地球から脱出する計画を立てたのが3博士で後の3精霊。
 そんなアダの設定を踏まえ、今のエルナ2の舞台が「地球」だとすると…。

 エルナシリーズとアダ戦記は、繋がっているんだよ!(な、なんだってー!?)

 いや思い付きを書いただけなので本気にしないで下さい。
 でもそう考えると、アダの「精霊」の定義と、ソーロッドなんかの設定が(仮に)似ててもあまり気にならないんだよな。まあこの辺の考察をマジでやるとするなら、来月のエルナ2完結を見守ってからになると思います。

 神の攻撃が大聖堂にすら降りかかる事に驚愕するバルドゥル。信仰が揺らごうとしているが、人間を聖修道会の手で滅ぼす事でまだ「信仰」を保とうとする。

 が、大統領命令でグードランド軍が出撃。ウーロフ博士の家宅捜索の結果がこれか。かなり俊敏な動きだ。
 そしてウーロフ博士が遺していた魔精霊を使用。しかしそれは聖修道会が使ってきた魔精霊ではなかった。
 それは、狂戦士を処分する際に使われた、あの魔精霊!

 …そうか、他の魔精霊が復活しているのだから、こっちも復活させられない訳がない。魔精霊は最強の戦士(何せ雷撃でも倒せない事もある)なのだから、普通に戦っていたら処分に困って仕方ないはず。処分用の魔精霊とセットで伝承や書物に伝わっていてもおかしくない。
 「私の子供達が世界を破壊しつくすのを見たい」と言う叫びに対する「その頃には博士も死んでるじゃないすか」と言うエストベリの突っ込みは、博士にとって想定していた事だったんだな。妄想の産物だけど。
 「私の血を混ぜた培養液で増殖させた」って考えは、つまりウーロフ博士本人が死んでも「培養液」に彼の成分が混ざっている以上、処分用魔精霊は彼の分身だって事ですかね。ウーロフ博士は、そう考えてこんな処置を取っていたって事か。
 いや、マジで「妄想」の産物以外の何物でもないけどな。イカレてしまった科学者だったようだ。

 「他意はないですよ。我々はただの刃。市民のために命じられれば誰とでも戦うだけで」
 「神とでも?」
 …ここで、にやりと笑うニルソン中佐に痺れた。

 彼は「神」を信じていない。いや、「神の実在」は信じざるを得ない状況だろうが、それは信仰されるべき「神」ではないと判ってしまった。
 それは「神」ではなく、自分達と同じような意思を持つ、生命体の一種だと彼には判ってしまった。だから、神とでも戦える。彼にとって神とは最早、敵対国と同じような存在に過ぎない。
 そういう事なのだろう。

 いやあ、これが「ガメラ2」見た結果なんだろうなあと思った。
 きっと神本体は勇者様達がどうにかするのだろうけど、端役の狂戦士達は「普通の人間」が食い止める。そんなものを描きたかったんだろうなあ。

 「普通の人間」の力は、聖修道会本拠でも見られる。「正統修道会」の法王が、それだ。
 破壊の力が降り注ぐ大聖堂だが、信者の元にバルドゥルは来ない。信者は、法王に縋ろうとする。しかし法王は「私は魔法を使えぬ…魔法の力であなた方を救う事は出来ないぞ」と切り捨てる。その台詞に、信者は悲嘆にくれる。
 しかし、法王は彼らを叱り付ける。
 「バルドゥルや魔法を通してしか神を見ぬのであれば、どれほど恵まれたとしても不安は消えぬぞ」

 つまりは以前、ベリエルがエルナに言った思想なのだと思う。それが正統修道会の教えなのだろう。
 魔法を使えば傷は癒える、でもその次は?傷を負えば何度でもそれを繰り返すのか?いずれ治らぬ時が来るのでは?
 ならば、我々は傷を乗り越える、根本的な教えを説くべきではないのか?
 天空に神など居ないのだ。
 ――即物的な救いだけが、神の力ではないだろう。

 誰かが自分を救ってくれる。誰かに縋って生きるのは楽な事だ。自分で判断せず、誰かに従って、それで安らかに生きていけるなら、これほど楽な事はない…。
 でも、それではいかんって事だろう。

 バルドゥル、陥落。
 這いつくばり、神に「私を見捨てないで下さい」と縋る。

 諦めろと、リョートが突き放したように言う。
 彼は神の考えを推測する。所詮、神は人間がどうなろうといい。殺して喰って、いくらか生き残って、それがまた増えればいい。そうすればまた戻ってきた時に喰える。それがエンドレス。
 たまたまその時生き残った人間が、「神に祝福された人間」として、語り継がれるだけだ…と、リョートはそう言う。

 つまり、神はバルドゥルの事などどうでもいいのだ。
 それはバルドゥルにとって、衝撃だろう。彼は母親との関係を、神に見出していたのだろうから。絶対者に仕え、その見返りとして精神的充足を得ていたのだろうから。
 それは、彼の一人芝居だと指摘されてしまった。これで彼は終わる。

 ところでリョートのこの推測が正しいとするならば、やはりエルナ1で逃げた「神々」と、今エルナ2で降臨している「神々」は、違うのではないかと思うのです。
 そしてエルナ2で言う神々は、エルナ1から2の間にもたまに地球にやってきていたのではないでしょうか。局地的に大災害と呼ばれる奴を引き起こしてきたのではないでしょうか。その場で生き残った人間は「神に祝福された人間」として語り継がれてきたのではないでしょうか…マッチポンプもいいところだが。
 エルナ1の「神々」は、結局地上の人間である「初代勇者」に戦う術を遺して去っていっている。だから、2の神々が去った以降にも地球に残っていた神の一派なのではないか?彼らは、魔獣の暴走に手を焼いて逃げてはいるが、別に地上の人間を滅ぼそうとした訳ではない。むしろ救う素振りは見せている――そう思うのです。
 だから、エルナス王に魔法を教えたのも、エルナ1の神々の一派なのでは?――とか思っちゃうよ。

 …ああ、でも、神々自身は魔法を知らんのか。バルドゥルが魔法を学んだのは、あくまでも正統修道会に遺された魔法書を読んでからであって、神から学んだのは「魔法と言う技術がある」と言う事実のみだ。
 じゃあ、エルナ1の時代の魔法の大本は、一体誰が開発したのかって問題にもなる。やはり、エルナ1で言う「神々」なのか?でも魔獣の暴走で地上が汚染されるまでは、地上の人間も魔法を持たなかった?ならば、魔獣の暴走以前には人々は魔法を使えない?
 いや待て。エルナ1の神々は、エルナ2の神々とは違って「精神体」じゃないのかもしれないぞ?普通の人間としてロケットでも使って「天空に去った」のかも知れんぞ?普通の人間なら、彼らの存在自体が魔法ではない。魔法を開発していてもおかしくない……?
 この辺が未だに良く判らない。最終回迎えても謎解けないかもな。

 クローンエルナが、自分の意思で動く。
 ヴァルとプリンセス☆エルナに対して「皆を助けて。信者の人も、そうでない人も」と、依頼する。
 それに対し、ヴァルは「エルナ…様」と答え、兜を着け跪き「御意」を告げ、聖剣を受け取る。

 ヴァルは彼女を初代エルナ姫と認識したんだろうか。
 そしてそんな彼は、初代勇者のようだ。
 正に、勇者の物語。

 瓦礫に埋まったリョートは、活路を見出す。
 って、それは魔精霊じゃないですか!何握り締めてるんだおい!

 魔精霊飲んで、竜にでもなる気か?エルナシリーズにはしげるくんのように、レギュラーから誰かひとりを人外に捧げないとならない決まりでもあるんでしょうか。

 今後の展開。と言っても最終回なので、最終決戦しかあり得ない。
 でも、神を倒せるのか?そもそも聖剣や魔法で「神」そのものを傷つける事は出来るのだろうか?
 神を無力化して追い払うと言っても、どうやって?彼らは勝手に地上に降りてきているっぽいし。何かの物体などに憑依しなきゃならないとか、着陸ポートが必要とかならば、それを破壊すればいい訳だけど。
 神に人間喰いを諦めて貰うと言うのも無理だろう。食物連鎖に組み込まれているようなもんだから。
 大体、全ての神が降臨してる訳じゃないだろうから、今ここに居る神だけをどうにかしても今後またやってこないとは限らないんだよな。むしろ神殺しとかやったら、他の「神」がマジギレして報復するんじゃなかろうか。
 
 …落とし所が見当たりません。
 かと言って今までの堤抄子作品みたいに「今の世代でやれる事はやった、後の問題は次世代に丸投げ」と言うオチで納得出来るようなもんでもないだろう。神の降臨ってのは正にそこにある危機なのだから。
 神すらも敵に回す事を厭わないニルソン中佐の笑みが、神殺しを示唆するのだろうか。それともヴァル達は他の方法を見出すのだろうか。

 そういやソーロッドは何処に行った。クッキー工場居残りだったはずだが。
 彼が神への説得要員になったりするのかなあ。一応、種族(とでも言うのか)としては同族だと思われるし…でも「分御霊」って考え方がどうなるか、だよな。

 何にせよ、最終回だってのに先が全く読めません。これ後1話で終わるのか?単行本で10P単位で書き下ろしとかやるんじゃなかろうな。

第41話「熱核雷撃」

 目次、いい加減喧嘩売っとんのかGF編集部。

 では今月号感想行きましょう。ああ良かった「予想外れたら鼻でスパゲティ喰う」とか「眼でピーナツ噛む」とか言ってなくて。

 結論から言うと、ちうでしたね。
 説得どころではなかった。物理的に口塞いで、しかも精神的ショックを与える行動だよなこれ。テンパった挙句の決断だったようだが、ヴァルも度胸あるなあ。
 しかし、「お姫様を眠りから覚ますのは、王子様か勇者様のキス」ってのは、ファンタジーの正統すぎる鉄板ですな。萌え尽きた。

 プリンセス☆エルナをアメリア合衆国(うわー)に送ると同時に、エルナクローン(聖剣つき)も送る。そしてクローンが熱核雷撃に合わせて聖剣を振る事で、被害は更に拡大する。それを狙ったバルドゥル。
 「20キロ四方が浄化される事になる」…そうですが、当のふたりのエルナは無事で終わるんでしょうか。と言うか、熱核雷撃って、雰囲気からして全方向への攻撃魔法だよな。エルナ1でシャールヴィが「人間の集中力の限界として無理なんだよ」とか言ってた全方向への。
 まあ禁呪だからその辺の縛りは抜けるとして、術者は無事なのか?術者が爆心地になって、そこには破壊力は及ばないのかな。でも雷球は中に浮いてるから、そこを中心にして爆発するとすると、術者も巻き込みそうなんだけど…自動的にクレトゥスみたいなもんが発動するんだろうか。

 まあ、全方向魔法云々以前に、最初に言ったように「聖剣振りに巻き込まれた」ら、プリンセス☆エルナ死ぬだろ絶対。
 クローンエルナも、闇の姫御子は魔法の影響は受けないと言っても(でもエルナ1読んでたらあんまり厳密に考えない方がいいような気がした)、魔法によってもたらされた破壊力からは無力だよな。例えば、魔法によって上昇した熱とか、発揮された気体の爆発力とか、崩れたビルの下敷きになるとか。
 ふたりはアメリア合衆国を滅ぼすための捨て駒的扱いなのかと思えば、「全世界に核の火種を蒔いて回る!」そうだから、死んだらまずいっぽいしな。どうするつもりだったんだろう。

 エルナとヴァルはアメリア合衆国に降り立つ。血の色のドレスを纏った少女が魔法の詠唱を始め、それを追うのが鎧の男………確かに、何も知らない交差点の通行人は「映画の撮影か?」と思うわなあ。

 残ったリョートが激昂し、バルドゥルをシメにかかる。
 バルドゥルはクレトゥス使って避けるだけなのだが、魔法は残ってないのか?それとも最初から近接戦闘状態だったから、呪文の詠唱やってる暇がない?
 どうやら光剣は「神から賜った魔法」らしい。でもエルナ1の時代にはなかったんだよな…どんな風に伝わったんだろう。

 「確かに人間は現実世界では限界がある。しかしそれでも人間の心はそれを越えていくんだよ!思考の限りを尽くし、意思を振り絞って」

 リョートはバルドゥルにそう叫ぶ。
 まるでヴァルのような事を言う。回想シーンからも判るように、本当に感化されちゃってるな。リョートはリョートでヴァル並に躓きまくってる人ですから(しかもヴァルと違うのは、当初は自信の塊だった点。だからコケた際の落差はヴァル以上だったはず)、悩んでそこを突き抜けたら、そりゃあ成長しておかしくない訳です。
 このような叫びを出来たリョートは、もう躓く事はないと思います。成長したな。

 リョートにボコられるバルドゥルは、一瞬DVの記憶を呼び起こす。そして、神の話を始める。

 バルドゥルが言う「神」の真実。
 どうやら神とは「精神体となった人間(?)」という事らしい。便宜上「人間」と書いたが、今この惑星にいる「人間」と同種の人類かは全く謎。
 意志の力で物事を動かそうとし、そうやって魔法が開発された。つまり「光あれ」と言い世界が生まれた…と言う奴ですね。以前バルドゥルの語りにもあったけれど。ありゃ我々の世界の旧約聖書と同じく単なる言い伝えだと思ってましたが、どうも真実を含んでいるとも考えていいような気がします。
 つまり、意志の力でこの惑星を作り変えた…魔獣を作り出した?どうだろうな。

 全ての物理的拘束から解かれた神々の殆どは宇宙空間に自由に旅立った。「意思が最速」だから、意思そのものになったならば宇宙への脱出も楽勝だろうしな。
 でも、明らかにエルナ1の「神々」と食い違う点がある。エルナ1での神々は、魔獣の暴走をきっかけにして、地上を捨てた事になっている。自由意志で宇宙に旅立ったとは思えない節がある。
 勿論、バルドゥルの語りが真実なのかは判らんよ。エルナ1での魔獣の暴露の方が信憑性あるかな。

 或いは、やはり神々には分派が存在する?
 エルナ1で脱出した「神々」と、今バルドゥルが言った「神々」は、別々?「殆ど宇宙空間に旅立った」後に残った「神々」が魔獣を開発し、今の人類と世界の元を生み出した。が、魔獣が暴走してその神々も脱出してしまい、残ったのはソーロッドのみ…とか?
 そうすると、エルナス王に魔法を教えたのも、神々の分派って事にすればしっくり来る。

 しかしこうなると、ソーロッドがどんな存在なのかもますます謎になってきた。「人間の下らない所も気に入って付き合っている訳だが」と言ってたって事は、彼自身は自分の事を「人間」とは思っていないって事だろうし。なら、「神々」の元は、今の人類とは違う「人間」って事になるのかな。
 そして「雷神ソウルの分御霊」と言う表現。彼が一個の個人として「神」になったのなら、「分御霊」って何だよ。明らかに「ソウル」と言う個人から分かたれた存在と言う認識を呼ぶ表現だと思うんだが。訳判らん。

 「神々」を生かすエネルギーは、人間の精神エネルギー。それを喰うために、戻ってくる。
 …やっぱりエルナ1の時代に果たされた「魔獣討伐」に関係してないんだよな…マジでエルナ1で言う「神々」と、別の存在か?
 ちゅーか「時々」という事は、今までも来てたんか?こっそり来て、人間の精神エネルギーを掠め取ってたんか?
 それでは効率が悪いので、たくさんの「神々」にエネルギーを供給する手段を探してた?そのために「天啓」を飛ばしてて、それに初めて引っ掛かったのが、バルドゥル?彼と言う「アンテナ」が見付かったから、本格的にエネルギーを頂くためのお膳立てを始めたって寸法か?
 ………でも、これじゃ、人間を滅ぼしてしまったら、エネルギー補給源も消滅してしまう事になる。長い眼で見ると、「神々」と人間は共倒れになってしまう。何を考えている?
 で、何気に「地球」と言う表現がなされましたな。意味はあるのだろうか。

 「それは本当に慈悲深き神なのか!?」と言うリョートの問いに、バルドゥルは静かに答える。「神の概念とは何ですか?人の世の力を、判断を超越した存在です」
 つまりそれは、我々の世界における「神」と、多分同じ解釈だ。絶大な力(自然の神秘など)に対して人間は恐怖し、祈るしかない事がある。科学が進んだこの時代でさえそうなってしまうのだから、古代の人々の場合ならば、我々の時代ならば単なる長雨であっても、それに「神の力」を見出したに違いない。

 「絶対的な力の前では、人は祈り信じるしかない。我々は打ち捨てられた、無力な子供と一緒なのだから」

 つまり…魔獣と同じ事を言っている。魔獣の場合は、直接的に「神に捨てられている」存在なのですが。
 しかしバルドゥルは、あくまでも自分の実体験とシンクロさせて導き出した結論。母親からのDV。「いらない子」と言われた、直接的な体験。彼にとって母親こそが絶対者であり、神だった。
 彼は、無力な子供だった。しかし、母親に愛して欲しかった…のだと思う。

 何処かに大切な人がいる。前に進めばその人に会えるかもしれない。その人に会えば世界が変わる。
 それは、奇跡かも知れない。でもきっと、誰にも見付かる。

 エルナはバルドゥルにそう告げた。例によって、その「奇跡」を得た人間だから、言える台詞だと思う。
 でも彼女は絶対的な力の前で諦めない。絶望的な状況を目の当たりにしても、できる事をやろうとしてきた。だからこそ、真実味がある台詞…でもあるよな。正しく、神に祈らない人間。無力ではあるけれど、他力本願ではなく自力で何かをやろうとしている人間。

 かくしてヴァルはエルナの熱核雷撃を寸前で止めてみせる。この辺りで魔法が止まったのって、ヴァーリと同じだよな。
 信号も「DONT WALK」から変わらないままだった。つまり、あのヴァーリ戦と同じく、とっても短い時間の決着。エルナは正気に戻り、ヴァルに抱き着く。そんな彼女をヴァルも抱き締め返す。周りのアメ公ども、ノリいいよな。

 その光景を見たクローンエルナは、自分で考え始める。
 バルドゥルの教えと、この人達と、どちらが大切か?教会の外には別の世界があり、別の考えを抱く人々がいる。ならばこの聖剣はどっちにあればいいんだろう…?

 計画の失敗を悟ったバルドゥルは、ふたりのエルナとヴァルを引き戻す。その瞬間、大聖堂に攻撃らしきものが落ちた!
 その巻き添えを喰らい、柱の下敷きになるリョート。その上に転送されてくるヴァルとエルナ。クローンエルナは前の別室に戻ったらしいが、自分の意思で何処かに走り出す。

 「この結果に神はお怒りです。期日を待たず神が…お始めになる」

 …バルドゥル談。だが、あのどっかんは、プラズマ弾がエルナとヴァルと一緒に転送されてきて、それがエルナの操作を失った事で暴走して大聖堂に落ちたんだよな?
 でもバルドゥルには天啓能力があるから、あのどっかんとは関係無しに神の声を受信したのかもしれないな。それがあの台詞に繋がると。
 天啓には時差があるものだけど、既に降臨している神がいるのだから、その神からの時差は今はないはず。

 まとめてしまうが、一方ベリエルは聖修道会に攻撃を受けていた。転送装置が狙い。
 何故聖修道会が転移魔法を使えるのか、未だに判らんのだけど。「装置」として組みあがっていても、「魔法」としてのノウハウもそのまま伝わってるもんなんだろうか。
 ともかく聖修道会は装置を…壊しに来た?乗っ取りではなく?壊されたらヴァル達はここには戻って来れない。と言うかセーフハウスを破壊されるようなもんだから、帰る場所すらなくなる。
 ベリエルは杖で戦うしかない。戒律として魔法が使えないのはやはり不利だな。他の僧が騒動に気付いたようだが、魔法が使えないなら聖修道会の信者を止める事は出来るのだろうか?
 何気にベリエルが傷を受ける。回復魔法は使っていい…のかな?それも駄目か?

 今後の展開。自分の目論見が失敗し、神が当初の予定から外れた行動に出始めたバルドゥルは、それでも神を信じるのか。
 「期日を待たずに始める」という事は、聖エルナ祭のために敬虔な信徒が大聖堂に集まるのも待たないという事だ。神の攻撃から、守れる人間の数が極端に少なくなる。それでは彼にとって意味がない。
 …大地から全人類を間引きかねないと思うのだが、精神エネルギーの今後の供給は考えていないのだろうか神々は。いや、バルドゥルの語りが真実とは限らないし…。
 エルナクローンは早急にヴァル達に合流したいが、彼女は彼らが何処にいるか判らないだろう。上手く出会えるとも限らない。…それこそ、法王が漢を見せる事になるだろうか。
 一方、ベリエル達だが、やはりここでグードランド介入か?グードランドは魔精霊を戦力として使ってしまう?

 クライマックスですが、まだまだ収拾つきそうにありません。

第40話「魔幻想」

 祝・40話突破。現在のGF内でも古参になりつつありますな。
 そろそろ最終話近いんだろうなーと思います。だから今まで(「1」も含めて)提示された情報を総合して、色々と分析したい事もあったりします。「神の概念」や「魔法」や「狂戦士」「魔精霊」とかな。
 まあそれは別項でやるとして。今月感想行きます。

 エルナに魔幻想を使うバルドゥル。お姫様が悪い魔法使いに洗脳されるとは、パターンですね。
 「世界を壊せ」「あなたは次に習った呪文をすみやかに実行する」とバルドゥルは命令する。しかしその幻影の中、エルナはバルドゥルが「傷だらけの子供」として見る。
 「1」でエルナが逆に術者の心の中に入り込んだように、これもいずれ伏線になっていくのだろうか。エルナが自力で術をどうにかするとか。
 …そう考えると、魔幻想って意外に脆い魔法か?まあ1,2で相次いで解除された使い魔法は「解呪された伝説がある」だけだそうだから、ふたりのエルナだけが特別なんだろうか。今回の魔幻想でも。

 子供のバルドゥルが「世界を壊せ」と言い切った描写には、何か訳があるのかなあ。
 神の命令ってだけではなく、彼自身が子供時代から世界の崩壊を願っていたとか。そんな事もあるのかな。

 ヴァルパート。結局リョートも付いていく事になったらしい。転移魔法の装置は守らなくていいのか?と言う疑問が沸くが…それは後述する。
 ともかくリョートが大切な戦力になる。聖鎧を着たままのヴァルは魔法を使えないし、聖剣を奪還しない事には攻撃すら出来ない。
 と言うか「統魔雷剣」とか言ってるし、ソーロッドの存在そのものに何か意味があったのか?魔法の知識以外に。それこそ本当に剣化しなくとも、ヴァルに魔法を与えていたとか。判らん。
 さりげなくリョートとヴァルが互いに死亡フラグ立て合う会話をやっとりますな。マジで大丈夫かこいつら。

 聖堂地下で聖修道会の信者達と戦闘状態に。作戦は「じゅもんせつやく」。
 クレトゥスでも魔法は消費する事になってるんだよな何時の間にかに。エルナ1の段階では気にしてなかった。
 白兵戦ならリョートマジで強いな。そして聖盾には封魔呪がついてるんだったな。シールドアタックなら聖剣もどきとして使えるんだ。盲点だった。

 予想通りエルナクローンと道すがら出会うふたり。でも和解は出来ない。マイナス印象のままか。
 何気なくプリンセス☆エルナが17歳と言う事が明らかになりました。これ、初出だよな?大学院生のヴァルとは結構歳の差あるんだな。

 そしてバルドゥルと邂逅。そして「エルナを助けたければ熱核雷弾を教えろ」とヴァルに取引を持ちかける。
 ヴァルは「後でエルナを奪還さえすれば」と思い、呪文を教えてしまう。が、バルドゥルの目論見は当たった。

 彼曰く、エルナは催眠状態で呪文をこれで覚えた。この部屋には転移魔法の魔方陣が敷かれ、周囲の部屋ではその魔法を詠唱中だった。
 これからエルナは某大国の首都へ行き、核魔法を使う。首都は壊滅。疑心に駆られた大統領は核兵器を使うだろう。そして世界に核連鎖が起こり世界は滅亡する…。
 呪文の詠唱を止められるものなら止めてみろ!神ならぬ身で奇跡が起こせるならば!
 以下次号。

 さて、整理しましょう。

 個人的な読みが思いっきり外れたのですよ。
 だって転移魔法って、エルナス側魔術書に載ってるんだろ?そしてエルナス魔術書は門外不出で、誰も見た事がないんだろ?
 4巻引っ張り出したよ確認したよ。確かにベリエルがそう解説してたよ。うちの考察感想でもそうその時点でまとめていて、この2冊の魔術書の情報を元にして今まで「この魔法は使える、使えない」と考察してたよ。
 更に3巻引っ張り出して、ベリエルの転移装置解説を読み返す。「転移魔法と言うのは他の魔法とは違って全くの別系統」「現代科学では他の魔法は証明できないが、転移魔法は理論的に可能だった。だからブラックボックス的に期せずして実用化された」と言う事だった。

 あの時点ではかるーく流してたが(だってこの時点では魔法書の話出てなかったもんな)、「門外不出のエルナス魔法書の魔法を、装置として実用化した」って、思いっきり矛盾してないか?

 ソーロッドが呪文を教えた?昔にも彼はヴァルのような研究者を選んでいて、そいつに全てを託した事がある?その人物が装置を開発した?そしてその呪文を、聖修道会に転んだ元正統修道会の幹部が持ち逃げした?
 …そんな風に捏造紛いの事しないと、説明付かんぞおい。どうしたつっつー。今後、思いっ切りどんでん返ししてくれるんだろうか。

 ともかく敵側にも転移魔法が使えたという事実が今更明らかになった。これ、でかいよな。今までも使ってたのかな。

 そして「某大国」の存在が明らかになる。多分イメージとしてはアメリカなんだろう。
 この惑星には「エルナス」「グードランド」のふたつの国しか存在しない訳ではなかったようだ。正統修道会&聖修道会はエルナスとグードランドにしか支部はないんかね。ごく一部にしか伝わっていない宗教が世界の命運を左右するってのは、良くある漫画や小説のネタなので別に変だとは思わない。
 もしかして、エルナ1で言う「世界(ギムレー)」ってのは、現グードランドの部分しか指していない?そしてグードランド部分から脱出して開拓されたのが現エルナスであり、逆を言うとその向こうにはもっと広大な大地と海が前々から存在し、魔獣と魔風の影響外で普通に人々が生活していた?確かにあの2国しかない惑星って、とっても小さいよなあとは思ってたけど…。
 もしそうなら…うわ、世界が滅茶苦茶広がった。と同時にエルナ1の世界観にまた別の深みが加わった。
 ゲームだけど「ヘラクレスの栄光3」のエンディング思い出した…ゲームの舞台はギリシャなんだけど、エンディングでは地図が出てきてそれが一気に世界地図に広がっていくんですよ。そんなイメージが湧いた。

 で、馬鹿正直に呪文をまともに教えてしまった(…よな?もし引っ掛けて呪文に手違い加えてたんなら、逆にヴァルGJだよそれで全て解決だよ)ために、エルナと熱核雷弾をどうやって止めるかが来月の展開予想になります。

 まず、ヴァルがエルナと一緒に転移魔法に飛び込むとする。
 が、ここで問題が生じる。3巻のベリエル解説から引いてみよう。「こいつの秀逸なところは転移魔法を物理的に行うために魔法が混じりこまない。封魔剣さえ運べるって事だよ」…つまり、今回は転移装置ではなく、普通に魔法を詠唱しての転移だ。逆に、マジックアイテムが運べない!

 つまり、ヴァルは聖鎧と聖盾を持って転移したらまずい事になる………はず。

 この設定による縛りは更にあり、「魔法の力そのものを飛ばす」という事も不可能な訳だ。そんな事出来たら、エルナ1の時代では一点集中爆撃機みたいな使い方出来ただろうしな。

 話を戻す。結果的に、エルナを追うためには、生身の人間として飛ぶしかない。
 つまり………リョート、任せた。死に場所はそこだ。

 第二の可能性。ヴァルは自前の転移装置を使って飛ぶ。
 おそらくこれしかないだろう。実際「エルナを奪還したらその瞬間にベリエルに連絡して、全員を引き上げて貰う」と前々から申し合わせがされていた。だから、合図すれば転移装置は発動できる。
 問題は、その合図がどのようなものであるかだ。合図の他に、細かい打ち合わせが出来るなら、転移先を変える事も可能だろうが、只「合図したら引き上げろ」ってだけなら…転移しようとしているエルナを強引に自分達の転移魔法に引きずり込むしかないよな。それ、可能か?
 多分不可能だと思われるので(今回のラスト付近がイメージ画と混ざってるので判り辛いんだけど、エルナは既に「某大国」に飛んでるのかもしれない)、「合図と共にちょっとした打ち合わせが可能な段取り」としておけ。そうすれば、ヴァルとリョートはエルナを追う事が出来る。

 で、エルナと同じ場所に無事(?)飛べたとする。そうすると、彼女を止める方法は?
 「神ならぬ身で奇跡を起こせるならば!」だそうなので、多分奇跡を起こせるのだろう。悪役がこんな事言ったら反対の事が起こるのが、ヒーローものの定番ですから。
 しかし、単なる呼び掛けでエルナが復活するとすれば、それはエルナの養父母が操りから解けたのと二番煎じ、或いはエルナ1での影法師戦の三番煎じなんだよな。そんなに同じ事を繰り返すとも思えない。

 ここでエルナ1のその影法師戦を思い出す。
 エルナは同様に魔幻想を掛けられ、自殺させられようとする。その時カルルが彼女の傍に行き「聖短剣を使え、それなら解呪出来るかもしれない」と呼びかけた。結果的にエルナは彼の「前を見ろ」と言う台詞に反応し、夢の中で逆に術者の心を覗く。聖短剣を使う事はなかった。
 あの魔幻想の解呪は聖短剣でもなく、エルナが自力で解いたのでもなく、夢の中でエルナに説得されて心を動かされた術者が自発的に解いたものだ。

 では、あの時使用されなかった「聖短剣を使え」が、今回生きるのではないか?

 無論今、聖短剣は行方不明(どころか伝説にも残ってるのか?)、聖剣も奪還されたままで所在不明。しかし今回、さりげなく「聖盾も封魔呪がある」という事を思い返させる描写があった。
 つまり、エルナに対して死なない程度にシールドアタック。
 そうすれば熱核雷弾も防げるはずで、一石二鳥。…って、聖盾の封魔呪って、聖剣と同じくマホカンタ効果あるんだろうか。魔法跳ね返してしかも威力倍増。だとしたら悲惨な事になりそうなんだが。

 …つーか、普通に、魔幻想の解呪ってどうやるんでしょうね。
 ディスペルマジックないんかな。なかったら最強すぎるんだけど。…だって、自殺まで強要出来るんだよ?自分の生命を脅かすような命令すら可能なんだよ?持続時間もほぼ永遠っぽかったしさあ。何らかの対抗魔法があって然るべきじゃないかなあ。ゲームバランスとしては(ゲームじゃないってば)。

 そんな感じで、今回の考察感想はエルナ1全巻やエルナ2既刊分を引っ張り出して色々考え込みました。まるでTRPGやってる際にボスに突撃する前、ルールブック引っ繰り返して魔法やその他行動のルールを見返して、出来る限り有利な戦いを進めようと話し合う過程のようだなあと思いました。
 ここまで考えたのに、普通に「ヴァルとエルナの絆で解呪」されてしまったら、ちょっとショックでかいかもしれません。つっつーだから設定に基づいた事をやってくると思っているのですが、漫画としては感情での解決もまた美しいのかもしれませんし。

 何にせよ、次号が本当に楽しみです。



 追加。忘れてた件と、思いついた新ネタ。

 熱核系魔法の対抗魔法(?)、冥闇獄。
 上での妄想もどき予想が外れ、魔幻想が止められなかった場合、エルナは熱核雷弾を発動させる事になる。それを止める第一の手段は、この冥闇獄と考えられる。

 ヴァルはおそらくそれを解読している。しかし彼は聖鎧を脱がない限り魔法は使えない。だから代わりに誰かに使って貰わなくてはならない。
 リョートがその役目に当たるか?そこで問題になるのは、魔法の使用量。エルナ1でアースムンドの説明によると、熱核雷弾の下位魔法と思われる熱核雷粒と冥闇獄をセットで1日2,3回が修道士の限界。多分、修道士ってのは専門魔法使いだろうから、リョートの魔法量はそれより少ないだろう。多分、やるなら一発勝負。

 ぶっちゃけ、上で挙げてたシールドアタックってのは冗談の域で、本命はこれだと思う。なら何故書くのを忘れてたんだって気分だが。
 こうすれば今まで空気だったリョートにもようやく見せ場が出来るんだしな。話としては美しいんじゃないかと。

 冥闇獄の威力だが、術者によって結構いじれるみたいだ。熱核系と併用する事で、放射能(だと思う)の悪影響は封じ込め破壊力のみを発散させる事が出来るが、その残す破壊力も冥闇獄の威力の幅で決める事が出来るっぽいですし。
 破壊力を完全に封じ込める事は出来なくても、放射能などの毒は冥闇獄が発動したら絶対に消える事になってるんだろうな。そうでないとしんどいし。
 リョート対プリンセス☆エルナでは、破壊力自体はかなり残ってしまいそうだなあ。摩天楼大丈夫か。

 以上が、忘れていた事。次が、世界設定を考察していてふと思いついた事。

 上で、「1で言われたギムレーは現グードランドで、外に広がっていた魔境が現エルナス。その更に外は魔獣の暴走の影響は全く受けていなかった」と言う仮定を書きました。今舞台になろうとしている某大国ってのは、1の世界の外なのだと。
 その仮定を突き詰めて考えていたのですよ。

 何度かの魔獣の暴走がきっかけで、大地が魔法に汚染された。しかし神が世界に組み込んだ機構、人間が「魔法」を取り込むナノマシンみたいなもの、それらのおかげで掌相を組み合わせて呪文を唱えるだけで人間が魔法を使える世界。

 逆に言うと。
 もし、グードランドとエルナス以外の他の国が、過去に魔獣の暴走の影響を全く受けていないなら、大地に魔法が全くばら撒かれていないって事になる。
 神の関与すらなかったとするなら、機構すら残っていない可能性もある。

 それらを考慮すると………。

 「某大国」では魔法が全く発動しないって可能性も出てくるんじゃないのか?

 もしそれが実現してしまうと、無茶苦茶凄まじい展開になるよ。
 正に「エルナサーガ」と言う物語自体の、パラダイム・シフトだと思う。
 この世界において、魔法が使えない場所がある。いや、むしろ魔法が使える「地域」こそが特殊なのだと。
 これをやるために、今号、唐突に「某大国」みたいな第三者的概念を引っ張り出してきたんじゃないのか?半信半疑ながらも、そう考えている。もし本当にこれが的中したら、凄い作家だと思う。もう、ファンタジーじゃなくて、根っからのSF者。全ての事象は全て理論で賄える。

 魔法は神の奇跡ではなく、正に技術でしかない。その証明にもなるだろう。
 しかし、魔法に「神」への拠り所を見出していたバルドゥルは、どうなるのだろう。狂信者ってのは、その信仰対象から裏切られた時が怖いんだよな。

 以上、書いておきたかったので、GF1月号発売前にさっさに書いておく。

第39話「兆し」

 まあ何だ。色々ある話なんだけど。
 このサイト的には「エストベリ小物決定」が大ニュースだったりします。

 …今までの思わせ振りで完全傍観者みたいな態度から「人外説」を唱えてきた俺としては、物凄い大ショックです。
 同様にウーロフ博士があっさり片付けられたのもショックだったりする。話の周りで放置されていたサブキャラが一気に整理されてきた印象。上手く伏線としてまとめられなかったのかな?こんなにあっさりと退場すべき設定のキャラじゃないと思うんだけど両人共。
 となると「レンツは実は皆が見様見真似で覚えていた治癒魔法で生きていた」と言う展開も全く期待出来ないか。「魔法が世の中に拡散していく」状態としてはかなり美しい伏線だと思うんだけど、彼はあれで本当に死んでしまったのか。
 そういやビョルン司教は死んでるのか?水に呑まれたまま消息不明だが、あれは死亡確認も兼ねてるんだろーか。

 それはそれで感想行きます。先々月は萌えて鼻血の雨を降らせそうになり、先月はバルドゥルDV設定で驚愕して、そして今月もとても面白かったです。いい勢いがついている。
 だから余計なモノはそぎ落としていくしかないのか。最終決戦が近いから、エストベリやウーロフ博士の伏線はさっさと片付けに行ったのか。

 エルナとバルドゥルの問答は、過去の彼らの会話が色々と思い出される。

 「力がある者もなき者も等しく尊き心を持つ事が出来る…それこそが平等のチャンスなんだって」
 とは、「力がある者」と言えるエルナが言っても厭味に近いのだが、ヴァルの受け売りなんだよなこれ。ここ数ヶ月で彼が吠えたような事だ。
 で、これを訊いて思い出したのが、バルドゥルとエストベリの「人は平等ですか?」と言う会話だったりする。バルドゥルは平等ではないと言い、だから聖修道会に信者が集まるのだと言った。
 今回のエルナの台詞は彼の考えを真っ向から破壊する。だから彼の癇に障ったんだろう。きっと。

 ついでなんてメモついでに書いておきますが、エルナが以前「私が死んでも意志が他の人に引き継がれたなら私は生きている」みたいな事を父王に言った事がありますね。で、アダ戦記終盤ではアダの「俺が死んでも他の人の記憶の中で俺は生きている」みたいな台詞があります。更にはエルナ1最終話でシャールヴィが「俺はお前の記憶の中で生きていく」とエルナに言い残しました。
 堤抄子作品の中でここまでネタ被りするのですから、これはつっつーの思想なのでしょう。多分、自分の命自体を惜しいと思う人間は、世界を救う英雄にはなり得ないのでしょう。命は思想を伝える手段でしかないし、物語が終わったからと言って世界が終わる訳ではない。

 バルドゥルが「畏れている」のは真実だろう。彼に暴力を加えた母親を。母親は彼にとって「神」のような絶対者だったのだろう。
 今、「神」は彼を認めてくれている。母親が最期に「助けて」と彼に縋った訳だが、その母親の代わりに「神」が彼の存在を認めてくれた。「僕がきっと悪いから」…そこを直して「絶対者」に認めて貰ったと思っているのだろう。

 ブチ切れたバルドゥルはエルナを溺死させようと水の精霊を振るう。さっきの傷つけた魔法は、殺すつもりはなかっただろうにもう殺意満々。
 そこで、覗いてたエルナクローンに止められる。どうもエルナクローンはプリンセス☆エルナに影響を受けてきたようです。無垢な存在だから色々な事を吸収するのだろう。

 一方、セルマねいさんとべるなんパート。
 セルマは調査。どうやらヴァルは魔精霊法に関しても調査の手を広げていたらしい。魔法だけではなかったのか。そんな中でウーロフ博士ともコンタクトを取る事に成功した。
 つー事は、ウーロフ博士はそれなりに著名な生命工学の科学者なんだな。「あんな怪物を作れそうな実力のある科学者」と、門外漢のセルマにも言える位なんだから。客観的に示されている成果を並べてもその実力が判るんだろう。
 何気にメール画面では、この世界の言語はやはり英語なんだなーとか、ヴァルのアカウントのパスが「エルナ」ってどうよとか、新着メールがウーロフ博士以外はshopping mailとかnews digestとかって寂しいやっちゃなあとか、色々笑ったり出来ます。

 ウーロフ博士とヴァル、メール上で意気投合。恐ろしいメンツだ。
 ヴァルは魔法、ウーロフ博士は魔精霊法だから、微妙に専門は違うのかな。でもウーロフ博士も一応は魔法に関しては知ってたようだったかな。同様にヴァルも魔精霊法については知識としては確保してあったんだろう。だから微妙に違う専門分野を持つ相手を見つけた事で双方興奮してたんだろう。
 前述の通りウーロフ博士はそれなりに著名だろうに。単なる大学院生(しかも史学で生命工学とは縁がない)と意気投合か。付き合えばいいおっさんだったんだろうなあ…倫理観欠けてるけど。ヴァルは人並みに倫理観持ってるから、そのうち仲違いしたかな。

 まあそんな事を考えるまでもなく、ウーロフ博士は聖修道会に殺された訳ですが。

 「片付け」に入っている…と言う思想も良く判らないんだけどね。「神の制裁」が下るなら、今のこの世の中で証拠隠滅に走らなければならない理由はないと思うんだがなあ。
 野党選挙事務所が閑散としているのも、この世界からの撤収準備に入ってるから?「野党」は聖修道会から献金貰ってるから、実質上聖修道会のアンテナショップだと見るべきなのか?
 全ての野党がそうなんだろうか?それともアメリカみたいに二大政党が仕切ってるんでしょうか。エルナスと言う国は。なら国会の半分を宗教団体に支配されてるという事になる………怖いなそれ。

 怪しい奴と思われてセルマに蹴りを入れられつつも、エストベリ君は命を救われる。
 「片付けに入った聖修道会からウーロフ博士を逃がしに来た」って、なかなかいい奴だなあと思う。神の制裁が下る事は確定してるんだから、ウーロフ博士が別勢力に対する金ヅルになる訳もあるまいに。それこそもうガールフレンド10人ばかりと一緒に、シェルターにまとめて逃げるしかないだろう。エストベリに残されている選択肢は。
 それにしても「ヴァルの姉さん?大変だなアイツ」って…ファーストコンタクト時点で既にそんな感想を抱かせるセルマねいさんって一体。リョートにも似たような事思われたしなあ…。

 ともかくエストベリ逃亡&おそらく舞台から退場。シェルターで何か企むとか、そんな事はないだろう。小物確定したし(しつこい)。

 魔精霊数個と研究データらしきものをウーロフ博士の遺品として託されるセルマとべるなん。そこに通りすがる職務に熱心なニルソン中佐。
 …魔精霊数個手に入っちゃったしなあ。多分特別な手法取らなくても、飲ませるだけで感染して狂戦士化するんだろうなあ。そしてグードランドと言う大国の軍の将校がすぐそこにいるもんなあ。
 狂戦士を軍事転用されそうな気がしているのは俺だけですか?あたかもエルナ1でやり損ねた「禁呪戦争」のように。
 野党側にやる気がない以上、研究して国会上で聖修道会の悪行を追及しても意味なさそうだし。「聖エルナ祭」までに研究が間に合うとも思えないし。まあ聖エルナ祭に大規模テロ(と言う認識にしかならないだろう。「神の制裁」なんか信じようがないニルソン中佐には)が行われるとは、彼らは知らないのですが。
 ニルソン中佐は以前から聖修道会を敵視していたようですが、彼の情報網には「聖修道会と正統修道会が裏で繋がっていた!」とかは引っかかるんだろうか。それが引っかかるなら、大聖堂に軍事力突っ込んで聖修道会を再度撃滅しようとするとか出来るんですが…。
 ともかく、ニルソンがどう立ち回るかが、今度の展開に大きな影響を与えそうです。

 ヴァルサイド。
 こちらは大聖堂に特攻をかけようとする。但し、ヴァル独りで。
 …聖鎧着て、魔法の知識持つヴァルのみ特攻って、正直バルドゥルとしてはカモネギ以外の何物でもないと思います。聖剣持ってないから攻撃手段ないし、魔法の知識あるっつっても魔力は人並だし。何考えてんだお前。
 とは言え転送装置を守る必要もあるんだよな。只でさえ、ベリエル達特務機関+リョートだけで守り切れるかも判らんし。

 そんな時なのに、ヴァルはソーロッドに疑念を抱く。
 「神が降りてきたろう?あれがお前と感触がそっくりだった…」
 ソーロッドは「雷神ソウルの分御霊」ですよね。エルナ1で彼がそう自己紹介したし、どうやら2の時代に残る神話でもそうなっているようだ。「分御霊」ってのをどう解釈すべきかと思っていたのですが、ヴァルが言うには「神の一部分」という事か。ならば雷神ソウルが実在する神ならば、彼はその意思にも沿う事になるのだろうか。
 或いは、ソーロッドはソウルから完全に独立した思考を持つ「分身」?この文章読んでる人のどれだけがついてこれるか判らんけど、「オーベルジュろわぞぶりゅ」に出てきたファンタマテーナみたいなもん?
 …ちなみに説明すると、幻の世界の人たちが作る「自分の分身」。でも「分身」と言っても個人としての人格を持ってるし、本体からの干渉も全く受けない。本体が死ねば消滅するけど、幻の世界ではその本体の死自体も特殊で「皆に忘れ去られたら消滅する」ので、生命的な寿命はない。…てな感じ。ソーロッドもこんな感じだとしたら、ソーロッドがソウルを敵に回す事も厭わないだろうな。

 結局ヴァルは疑念を拭い切れず、特攻にソーロッドを連れて行かない。味方をまた独り置いていく事となる。
 つーか何気に「統魔雷剣があるけどな」とかソーロッドが言ってるんですが、お前、その魔力ばりばり持った剣になれるのか?だったら今までの戦い、もっと楽になったんじゃ?剣化しなくても、「魔法を無限に供給する力」がソーロッドが傍にいるだけで発動するなら、ヴァルは魔法を無尽蔵に撃てるはずだしなあ。

 ヴァルを待ち受けるバルドゥル。そして調子こいている。

 何この綾波。

 ここ数ヶ月のバルドゥルの暴走は異常です。好き勝手です。趣味に走りまくってます。
 と言うか「この美しき血色のドレス」は一体どうしたんですか。サイズがエルナにきっちり合ってるじゃないですか。
 まさか「ヴァルにも何もされた事ないのに」と泣いてたエルナだってのに、気絶したらさっさと脱がして採寸しましたか。そして、枢機卿自らが針仕事しやがりましたか。そうだよな、こんな楽しい事は他の幹部にもさせたくないよな!包帯巻き巻きもとっても楽しそうですね!つーか治癒魔法かけてやってないのかどうなのか。

 「白き騎士よ!来なさい!」と大見得切るバルドゥル様ですが、ヴァルは一体何処に転送されてくるやら。
 大聖堂はベリエル達にとっては庭みたいなもんでしょうから、まさかいきなりエルナ磔の場(あれ、ホールみたいな場所だよな)に飛んでくるとも思えんし。大聖堂の裏口とかにこっそり現れると思われる…けど、格好が格好だもんなー。目立ちまくり。

 ベリエル達の方も攻め込まれたりしたら戦闘状態になるのかな。それとも、ニルソン中佐達の状況を考えると…セルマ達は信者テロリストのいまわの言葉で「ヴァルたちが逃げ込んだのは元正統修道会の元教会」と知っている。そしてグードランドの人間であるニルソンは、それが「最近破門されたクッキー工場つきの教会」と判るかもしれない。
 だとしたら、ベリエル達の援護にはむしろニルソン中佐達がやってくるかもしれないな。それこそ狂戦士持ってきて。…味方なのか判らんなそれ。
 
 ヴァルは、このままでは正しくカモネギにしかならないので、侵入初期で聖剣奪還成功するか(でもソーロッド居ないのにどうするんだ?それこそへたれな偶然でしか奪還成功しないと思う)、或いはエルナクローンにこっそり出会うか…。
 それとも、こっそり教皇に救われるかも?教皇も最後(最期かもしれんが)に意地を見せるかも?
 何にせよラストバトルは近そうです。ここでヴァルが失敗したら次は誰が救いに来るんだって話になるし、「聖エルナ祭」が近い=神の制裁が近いって事なんだから、これを防ぐ事こそがラストバトルになるだろうしね。



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